親子制覇も見どころのひとつ。今年のJBC登録馬のなかで、クラシックの
パルトネルラーフ、ス
プリントの
ノブワイルド、レディスクラシックの
ビスカリアは、いずれもJBCでの活躍はもちろん、ダート界を席巻した偉大な父を持つ。「JBC王者列伝」、今回は
ヴァーミリアンをお届けする。
■異なる競馬場と距離で3連覇を達成
「立派な馬、それに尽きると思う。7年間、うちの看板馬として偉大な成績をあげてくれた。本当にお疲れさまと伝えたい」
石坂正調教師は引退式で、
ヴァーミリアンをこうねぎらった。また、最も思い出に残ることを問われ、「芝の重賞を勝ち、クラシックへの期待を持ったが挫折。そこでダート路線に方向を変えて、やっぱりいけるんだと思ったときが一番インパクトがあった」と答えた。
石坂師が「やっぱりいける」と感じた通り、
ヴァーミリアンは3歳秋にダートへ転じると輝きを放った。初ダートの
エニフSを勝利すると、続く彩の国
浦和記念でダート重賞初制覇を果たす。そして翌年は、
ダイオライト記念と
名古屋グランプリの重賞2勝をあげる。
破竹の快進撃は2007年だった。
川崎記念でGIを初制覇すると、ドバイワールドC(4着)と夏場の休養を挟み、
JBCクラシック、
ジャパンカップダート、
東京大賞典を連勝するのである。
この2007年の
JBCクラシックは2番人気だった。1番人気はス
プリントとマイルに続きJBC3カテゴリー制覇を目指していた
ブルーコンコルドで、1.9倍の断然人気を集めていた。しかしレースは、
ヴァーミリアンの4馬身差圧勝だった。道中は6〜7番手の内目で脚を溜め、直線で前にスペースが開くとあっさりと抜け出した。秋のダート3大タイトルを手に、GIを4勝した
ヴァーミリアンは、この年の
JRA賞最優秀ダートホースに選出された。
2008年も
ヴァーミリアンの強さは健在だった。
フェブラリーSで連勝を伸ばすと、ドバイへの遠征はまたも負けてしまうものの、秋緒戦の
JBCクラシックを勝利する。この年は先行する2・3番人気馬を見ながら追走し、4コーナーで並びかけると直線の競り合いをクビ差で制した。レコード勝ちで
JBCクラシックを連覇しただけでなく、国内GI・6連勝も達成。その後、連覇を狙った
ジャパンカップダートは3着、
東京大賞典は2着に敗れるも、国内では出走取消を除き一度も馬券圏内を外すことはなく一年を終えた。
2009年は国内で春2戦を経て、
JBCクラシックを迎える。初めて出走した07年の単勝オッズは3.2倍だったが、この年は1.3倍の断然人気に支持された。好スタートを切った
ヴァーミリアンは、前年同様に逃げ馬を見ながら3番手に控える。そして、手ごたえ十分で直線を向くと内からきっちり差し切った。
アメリカのブ
リーダーズカップに倣うJBCは、各地の競馬場の持ち回り開催が基本だ。そのため
ヴァーミリアンは、大井2000m、園田1870m、名古屋1900mと異なる競馬場と距離で3連覇を達成している。
2歳デビューから夏場以外の長期休養はなく、8歳まで走り続けた
ヴァーミリアン。通算成績は34戦15勝、GIは9勝を数えた。
現在、ノーザンホースパークで乗馬として活躍しているが、今週(11/3・4)は京都競馬場に登場するとのこと。変わらず漆黒の迫力ある馬体を見せてくれるのか、楽しみにしたい。