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意外な形で能力見せたオールブラッシュ/浦和記念回顧(斎藤修)

  • 2018年11月24日(土) 18時00分
 中央勢は4頭と限られた出走枠。直前のJBCクラシックでは結果が出なかったものの、JpnI勝ちのある古馬3頭に対して、重賞連勝中で世代レベルが高いと言われている3歳のグリムが単勝1.4倍と断然の支持を受けた。しかしその中央勢ではもっとも人気のなかったオールブラッシュがグリムを4馬身突き放す圧勝。中団からレースを進めたオールブラッシュが3コーナーから一気にまくるという展開も意外なものだった。

 浦和・小久保智厩舎の2頭がレースを引っ張って、そのうしろに中央4頭が続く展開。中央勢にこれといった逃げ馬がおらず、ゆったり流れるかと思ったらそうはならず、前半1000m通過が62秒2で、ペースはそれほど緩むことがなかった。後半も63秒2とラップがあまり落ちることはなく、オールブラッシュの勝ちタイムは2分5秒4。良馬場にもかかわらず過去10年の浦和記念との比較では、2008年にスマートファルコンが逃げ切ったときの2分4秒8(重)に次ぐ2番目のタイム。昨年、一昨年あたりと比較すると、この浦和開催は全体的に1秒程度速かったが、それにしても2分5秒4はかなり優秀なタイムだ。

 前半が62秒台で流れ、2着グリム、3着クリソライトの上り3Fがともに38秒1というのは、例年の浦和記念であれば勝っていてもおかしくないパフォーマンス。緩みのないペースにもかかわらず、前後半でちょうど1秒しか変わらない流れを乗り切ったオールブラッシュのレースぶりを評価すべきだろう。

 オールブラッシュは、調教師も鞍上も「逃げるつもりだった」ということだから、まさに瓢箪から駒という展開での勝利。スタートでタイミングが合わず中団を追走。2周目の3コーナー手前で先行した地元2頭の行き脚が鈍ったところでグリムが先頭に立ったわけだが、そこで並ぶ間もなくまくって行ったのがオールブラッシュ。その上り3Fは36秒9。勝負どころで動いたグリムにしてみれば、意表を突くようなペースでうしろから来られてしまい、そこでもう一度エンジンをふかすようなことはなかなかに難しい。それが4馬身という決定的な差になった。

 ただ今回はグリムの評価を落とすべきではなく、出遅れても落ち着いて後半の一瞬に勝負をかけた田辺騎手と、それにこたえたオールブラッシュのパフォーマンスを褒めるべきだろう。

 オールブラッシュは昨年の川崎記念を逃げ切ったあとしばらく結果が出ず、フロックだったかと思われても仕方ない成績だった。しかし今年、かしわ記念であわやというゴールドドリームの2着があり、そして今回の勝利。あらためて能力の高さを示した。とはいえその間、中山のマーチS、先のJBCクラシックでは二桁着順に敗れていて、厳しい流れにならない地方の舞台でこそと言えそう。東京大賞典はパスして、次は川崎記念となるようだ。

 グリムに1馬身差と食い下がったクリソライトは、前走JBCクラシック(15着)が14カ月ぶりの復帰戦で、今回は復調を感じさせるレース内容。来年は9歳だが、得意の船橋でダイオライト記念4度目の制覇にも期待が持てそう。

 アポロケンタッキーが最大限の能力を発揮したときの強さは認めるところだが、たとえば今年の帝王賞がそうだったように、砂をかぶるのを嫌がるのかどうか、レース前半からまったく走る気を見せないこともある。この馬はどういう条件ならハマるのか、狙いどころが難しい。

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