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【チャンピオンズC】ダート界に衝撃を残した外国産馬・クロフネ/砂の頂上決戦ヒストリー

  • 2018年11月27日(火) 22時10分
 秋のダート王者決定戦・チャンピオンズカップは、2000年に創設されたジャパンカップダートから、様々な条件で開催されてきた。今週はそんな「チャンピオンズカップストリー」に迫る。初回は2001年のクロフネをお送りする。

■ダート2戦目で7馬身差の世界レコード

 クロフネのダート参戦のきっかけは、外国産馬の出走制限というルールだった。

 2歳秋に芝1600mでデビューしたクロフネは、翌春、毎日杯NHKマイルCを連勝したが、ダービーは5着に敗れた。GI2戦で手綱を取った武豊騎手は、このとき桁外れのスピードと強さを感じ取っていたという。

 秋は距離を考慮して、神戸新聞杯(当時は2000m)から天皇賞・秋を目指すことに。ところが、外国産馬であるクロフネに制度の壁が立ちはだかった。当時は天皇賞への外国産馬の出走枠が2頭までしか認められておらず、収得賞金順でクロフネの出走は叶わなかったのである。

 そこで向かったのが天皇賞・秋の前日に行われた、東京ダート1600mの武蔵野Sだった。

 ここでもコンビを組んだ武豊騎手は、レース前に「初めてのダートだが、クロフネの力なら圧勝するかもしれない」と考えていたそうだが、その通りクロフネは衝撃の走りを披露する。ハイペースのなか向正面から位置を上げ、直線を向くと先頭に立ち、そこから後続を引き離すと2着のイーグルカフェに9馬身差をつけたのである。勝ち時計の1分33秒3はダート1600mの日本レコードで、この記録はいまだに破られていない。

 次走は中3週で、第2回ジャパンカップダート(東京ダート2100m)が選ばれた。この年、外国からはアメリカの強豪リドパレスが出走していたが、クロフネは単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持され、2番人気がリドパレス、3番人気が前年の第1回優勝馬ウイングアローだった。

 レースは、アメリカ勢が先手を取る。リドパレスは好位の外、クロフネはリドパレスを見ながらレースを進めた。このときもクロフネは向正面で動き出し、場内は大きなどよめきに包まれる。そして3コーナーでは前にいたリドパレスを楽に交わし、4コーナーを回りながら先頭に立つ。あとはクロフネの独壇場。あまりの強さに、ファンはいつもの直線のような絶叫ではなく、感嘆の声と拍手でクロフネをゴールに迎え入れた。2着ウイングアローとの着差は7馬身、勝ち時計の2分05秒9はダート2100mの世界レコードだった。

 レース後の武豊騎手は「常識的には速いスパートかと思ったが、前走の内容が良かったので自信を持ってスパートした。こんなに強い馬は今までいなかった」と語っている。たしかに、直線での武豊騎手は、後ろを気にする余裕もあったほどだった。

 次は世界の頂点へ、そんな期待が高まったのだが、年末に右前脚に浅屈腱炎を発症。結局、ジャパンカップダートが最後のレースとなってしまう。

 クロフネの馬名は、2001年に日本ダービーが外国産馬に開放されることにちなみ、幕末に来航したペリー率いる「黒船」に由来したもの。ダービーではなかったが、わずか2戦のダートで見せた圧倒的なパフォーマンスは、馬名通りのインパクトを残したといえるだろう。

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