平地、障害と渡り歩いた10冠ベイビー・
テイエムオペラドンが引退し、大学で乗馬になることとなった。
父はGI7勝の
テイエムオペラオー、母はGI3勝の
テイエムオーシャン。
テイエムオペラオーが1年間に8戦して無敗の“
グランドスラム”を達成した翌年、
テイエムオーシャンは
桜花賞と
秋華賞を制覇し、牝馬二冠を達成した。そんな配合とあってファンからも注目を集めた
テイエムオペラドンは、2011年秋に新川恵厩舎からデビュー。8戦目で初勝利を挙げ、13年春には厩舎解散に伴い
浜田多実雄厩舎が引き継いだ。
「テイエムさんの良血馬なので、平地でいいところまでいけたらと思っていました。500万下を勝てそうな感じもありましたが、オーナーのお考えもあって障害へ向かいました」(浜田師)
5歳で障害入りすると、すぐに2戦目で勝ち上がった。特に福島コースは得意で、5戦して2勝、2着3回と連対率100%。
「福島に重賞レースがあればなぁって思うほどでした。年末の
中山大障害を目指して、春から考えてローテーションを組んでいたんです。ところが前走後、短期放牧から帰ってきて調教をはじめると、ちょっと異常を感じ、
エコー検査をしたら屈腱炎が判明したんです。それで引退することになりました。もっと頑張りたかったですね……」
昨年の
中山大障害は6着。今年は絶対王者
オジュウチョウサンが不在とあって、さらに気合いが入っていたことだろう。浜田師は幾度か「もっと頑張りたかったです」と無念さを滲ませた。
「オーナーの『引退後はきちんとした所で余生を』という意向もあり、引退後は麻布大学で乗馬になる予定です。脚元のことがあるので、少し休んでからになると思いますが、がんばってほしいですね」
2000年代初頭、競馬界を彩った2頭による夢の配合。重賞制覇の夢は志半ばで絶たれたが、これからは学生たちに愛されて第2の馬生を歩むことだろう。
(取材・文:大恵陽子)