有馬記念は一年間の
中央競馬の総決算で、世間の注目度も高い。しかし、今秋のGI勝ち馬でここに歩を進めてきたのは、天皇賞馬
レイデオロただ一頭。香港国際競走との兼ね合いなどで、以前のようなオールスターメンバーは集まらなくなってしまった。
かつてこのレースを2年連続3着した
ダイワメジャーのように、距離が長いと思われる馬の果敢なチャレンジがこのレースを盛り上げてきた歴史もあるが、今はスピード志向の強い馬には
阪神Cが用意されている。使い分けが当たり前になって、以前とは性格が様変わりしている。
1.先行有利のレースに
スピード馬不在の影響でペースが上がりにくくなっており、前に行けないとなかなか勝ち負けにならない。過去10年で、4コーナーの通過順位が3番手以内だった馬が7勝していて、最近では5連勝中。差し馬は直線で渋滞にハマる危険性があり、軸としての信頼性では先行馬に軍配が上がる。
2.挑戦者の好走チャンスが広がる
ジャパンC勝った
キタサンブラックと
菊花賞を勝った
サトノダイヤモンドが出走した2016年は例外的なケースで、使い分けが徹底された近年では直近のGI勝ち馬の出走自体が少なくなっている。2015年は前走で重賞初勝利したばかりだった
ゴールドアクターが勝利して、2014年はGI未勝利の3歳馬
トゥザワールドが2着、2012年もGI初挑戦の
オーシャンブルーが2着。実績では格下の
チャレンジャーにも食い込む余地が大きくなっている。
3.
ジャパンC激走馬は疲労に注意
ジャパンCと
有馬記念を連続して連対した馬は、過去10年では
ブエナビスタ(
ジャパンCでは1位入線から2着に降着)と
キタサンブラックの2頭だけ。いずれもGIをいくつも勝つような名馬であり、そのクラスでなければ
ジャパンC好走の反動は軽視できない。
オジュウチョウサンは昨年と一昨年の
最優秀障害馬で、障害重賞9連勝を誇る不世出の名ジャンパーだ。今夏に平地再転向して500万と1000万を連勝。狙い通りファン投票で資格を得て、
有馬記念に駒を進めてきた。
前走では東京コースの速い上がりにも対応してみせたが、コーナー6回でスタミナが要求される中山2500mに替わるのは好材料。勝負根性とレースセンスに秀でた馬で、自分から動いていける脚質も頼もしい。前走あたりから、障害を走っていた頃とは体つきも歩き方も変わってきた。スピード仕様に進化しつつある歴史的障害馬の
グランプリ挑戦が非常に楽しみだ。