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オジュウチョウサンに騎乗予定の
武豊騎手――今年の
有馬記念は
オジュウチョウサンに騎乗されます。お気持ちは?
武豊 やはり
有馬記念は特別なレースですね。年末の風物詩という雰囲気があります。
オジュウチョウサンは非常に人気のある馬ですし、注目されているのを感じますね。
――昨年の
キタサンブラックとは違う注目のされ方ですね?
武豊 はい、だいぶ違います(笑)。
――前走、前々走と手綱を取っていらっしゃいます。印象は?
武豊 障害のチャンピオンホースで福島で初めて乗せていただきました。非常に興味を持って乗せてもらったんですけど、やはりいい馬だな、というのが第一印象でした。レースも勝つことが出来たんですけど、福島でオーナーが『最終目標は
有馬記念』と仰っていて、正直冗談かな、と僕は思っていたんですけど(笑)。いやぁ、本当に実現しましたね。当時は500万下クラスのレースでしたし、僕自身はまだ本当に現実的な話ではないだろうな、と思っていましたね。
――名ジャンパーが平地に行きましたが、その良さは?
武豊 もともと、というか、障害レースといっても(平地を)走りますので。脚力はあるのだろうな、と思っていましたし。障害レースのときのラップタイム、障害を飛び終わったときのラップタイムを見ても凄いタイムで走っていたので。普通に脚力がある馬なんだろうな、と思っていました。
――昨年も
有馬記念の前日(
中山大障害)に凄いタイムで走っていましたね。
武豊 そうなんですよね、63キロ背負ってね。
――その頃、武さんはこの馬が翌年の
有馬記念に出走すると思っていましたか?
武豊 夢にも思わないですよね。そして、僕が
オジュウチョウサンに乗るとはまったく想像していなかったです。
――武さんにはいろんな選択肢があった中での
オジュウチョウサンとのコンビとなりました。
武豊 そうですね。ありがたいお話ですね。
オジュウチョウサン(のローテーション)については夏にオーナーが仰ってて、獲得賞金上、ファン投票で選ばれないと
有馬記念に出走する権利がなかったのでどうなのかな?と思っていたんですけど。やっぱりすごい人気があるというか、ファン投票がすごい票数だったので、改めてこの馬の人気の高さ、ファンの注目を感じることができました。そこはこの馬で
有馬記念に行くことになった大きな要素です。
――
有馬記念はいろいろとドラマチックなことが起きるレースです。そこで今回はこの馬が勝つというドラマを期待している方もいらっしゃいます。
武豊 ドラマチックすぎますよね(ニッコリ)。漫画みたいです。でも、ホント競馬ですからね、何が起こるかわからないですし。特に
有馬記念というのは本当にそういう、後に語り継がれるレースですから。僕自身はそこに期待しています。
――平成最後の
有馬記念となりますが、そのあたりは?
武豊 そうですね。
有馬記念、僕自身もいろいろと数多く乗せてもらっていろんなことがありました。(平成)最後が
オジュウチョウサンというのも、なんか不思議な感じはします。本当にファンの夢を背負って、という気持ちはありますね。
――状態については報告を受けていますか?
武豊 はい。先週、和田調教師とお会いしたときに「状態はいいです」と伺いました。過去、僕は2回乗っていますが、(過去2回と今回の)その中でも一番状態はいいと思います、と仰っていました。
――しかし、今回はメンバーがグンと上がりますよね?
武豊 そうですよね。一気に、というか今までとはメンバーが違いますので。さすがにそこはね、当然感じています。
――そして、このところ外国人ジョッキーが10週連続でGIを勝っています。そこは武さんとしては止めたいお気持ちがあるかと思いますが?
武豊 いやぁ、そこは。本当に正直なところ、自分で止めたいという気持ちはありますね。
――
オジュウチョウサンがどれだけの人気を集めていると思いますか?
武豊 やはり障害であれだけ絶対的王者で、そのまま障害レースに出ていればおそらく勝ちやすいわけですから。そこをあえて平地に挑戦するというのに、皆さん共感を持ってもらえるのではないでしょうか。本当にファンの多い馬だと思いますね。
――人気は肌で感じられましたか?
武豊 そうですね。福島ではパドックでもすごくたくさん写真を撮っている方がいるし、前走(
南武特別)もゴール前から拍手されている。いやぁ、すごい馬だな、って思いますね。
――今の段階で思い描いているレース展開は?
武豊 一番のストロングポイントはスタミナだと思うので。それを生かす乗り方はしたいと思います。ただ、他の馬がいることですし枠順も馬場状態もわからないので、ポジションとか展開はまだわからないですけど。ただ、そういうスタミナを生かす騎乗はしたいな、と思います。
――最後にファン投票3位の
オジュウチョウサンで挑むお気持ちを。
武豊 ファンの皆さんの投票のおかげで
有馬記念に出走が叶ったので、やはり僕自身もその気持ちにこたえたいと思いますし、最後を締めくくりたいですね。
(取材・文:花岡貴子)