ゲートが開き、12頭の出走馬が飛び出した。大方の予想では逃げると見れらていた
キングリスティアが出遅れて、後方からの競馬となった。
ミルコ・デムーロが乗る1番人気の
サートゥルナーリアは好スタートを切り、最初の5、6完歩でハナに立った。
「スタートはすごくよかった。コーナーを4つ回るのも、2000mも初めてだった。それを気にしていたので、ハナには行かなかった」
そう振り返ったデムーロは、手綱を抑えて他馬が来るのを待った。内から
ニシノデイジー、外から
アドマイヤジャスタといった有力馬が接近してくる。
正面スタンド前で、それらを
コスモカレンドゥラが外からかわし、先頭で1コーナーに入って行った。
2番手は
サートゥルナーリア、外の3番手は
アドマイヤジャスタ、内の4番手に
ニシノデイジーと、人気どころが集まった。
先頭から最後方まで8馬身ほどの一団となって向正面へ。
1000m通過は1分02秒5。これだけスローだと、やはり行きたがっている馬が多い。
コスモカレンドゥラ、
アドマイヤジャスタ、
ブレイキングドーン、
サートゥルナーリアが3馬身ほどに固まったまま4コーナーを回り、直線に向いた。
サートゥルナーリアの前にはコスモとアドマイヤ、
ブレイキングが横並びの壁となっている。そのさらに後ろにいた
ニシノデイジーも行き場がなく、追い出しを待っている。
ラスト200m地点でアドマイヤがぐいっと伸び、
ブレイキングとの間にわずかなスペースが生じた。そこにデムーロは
サートゥルナーリアを誘導した。
「直線で狭いところに入った」
そう話したシーンだ。
サートゥルナーリアはノーステッキで瞬時にそこをすり抜け、2着を1馬身半突き放してフィニッシュ。デビューから無傷の3連勝を遂げた。
最後の5完歩ほどは流すような感じで、デムーロが左拳を握りしめながらのゴールと、余裕を感じさせた。
「今年一番強い2歳に乗っていると思っていました」。
重賞初勝利がGI制覇。レースではまだ一度もステッキで叩かれたことがないのだから、末恐ろしい。
兄
エピファネイア、
リオンディーズにつづいて母系の素晴らしさを示したばかりでなく、父
ロードカナロアの種牡馬としてのポテンシャルの高さを、
アーモンドアイとともに実証する結果となった。
最優秀2歳牡馬は、4連勝で
朝日杯FSを制した
アドマイヤマーズになると思われるが、来年のクラシック戦線は、この馬を中心に回っていくことになりそうだ。
生産馬によるワンツーフィニッシュを決めたノーザンファームは、これが同牧場の年間最多記録をさらに更新するGI16勝目となった。
(文:島田明宏)