逃げて直線を向いても先頭で、一瞬、おっ?っと思わせた北海道の
スーパーステション。これについてはあとで触れるとして、まずは人気・実力上位の3頭がそれぞれ持ち味を発揮し、ゴール前の争いとなった。
大外枠から押して出てきた
アポロケンタッキーに突かれ、逃げた
スーパーステションの1000m通過は61秒2。これは今の大井の馬場ではなかなかに厳しいペース。やや離れての3番手が
ヤマミダンス、
リーゼントロックだが、これは格下。さらに差があって5番手が
ケイティブレイブで、先頭との差を計ると1000m通過は62秒6。このあたりが先行馬として理想的なペースで、相手の出方次第で逃げることも控えることもできるようになった
ケイティブレイブにとっては絶好のレース運びだったと思われる。
ゴールドドリームは相変わらずスタートのタイミングが合わないようで置かれてしまったが、2コーナーまでに無理せず中団まで位置取りを上げた。
オメガパフュームは互角のスタートも13番手(後方から4番手)まで位置取りを下げた。
ケイティブレイブが先頭に立ったのは直線半ば、残り200mのあたり。
ゴールドドリーム、
オメガパフュームは直線を向いたところで、すでに
ケイティブレイブから2馬身ほどのところに迫っていて、終いに使える脚を考えると、この位置関係では
ケイティブレイブには分が悪い。
そのとおり、
オメガパフュームがメンバー中最速の38秒5の末脚でまとめて差し切った。
JBCクラシックでは3、4コーナーで
ケイティブレイブに差を広げられたぶん、ゴール前で追い詰めるも届かなかったが、今回は4コーナー手前あたりで完全に
ケイティブレイブを射程圏に入れたことが勝利につながった。それにしても、
JBCクラシック(2着)、
チャンピオンズC(5着)に続き、一線級相手にこの秋3戦目、キャリア8戦の若い3歳馬をよく
ピークにもってこられたものと思う。
2着だった
ゴールドドリームは、直線で
オメガパフュームと馬体を併せるように伸び、
ケイティブレイブを交わしたが、
オメガパフュームのほうが勢いが勝って3/4馬身及ばず。直線を向いて
オメガパフュームが外から馬体を併せてきた、というよりかぶせてきたとき、
ゴールドドリームの真ん前には
ケイティブレイブがいて行き場を失うような場面があった。さらに直線の瞬発力勝負では2kgの斤量差も大きい。
ルヴァンスレーヴが不在となっても、ダートでは3歳世代ナンバー2的存在の
オメガパフュームが、古馬のトップ2を一蹴。あらためて世代レベルの高さを示した。とはいえこの3頭は紙一重の実力であることも確か。来年はこれに
ルヴァンスレーヴも加わっての覇権争いとなるのだろう。
オメガパフュームの
父スウェプトオーヴァーボードは、芝でもダートでも活躍馬を出していて、芝では
スプリンターズS連覇の
レッドファルクスがいるが、ダートでは産駒によるGI初制覇となった。
船橋移籍初戦として臨んだ8歳の
サウンドトゥルーは、
ケイティブレイブから1馬身半差で4着。スタート後は最後方で、4コーナーでは中団9番手から前に迫った。上り3F=38秒8は、勝った
オメガパフュームに次ぐもの。見せ場はつくったが、最後は1、2着馬と脚色が一緒で、全盛時に比べると最後のキレはちょっともの足りない。
そして2歳時の
北海道2歳優駿(6着)以来のダート
グレード挑戦がGIの舞台となった
スーパーステションは、4着の
サウンドトゥルーからハナ差5着の
エイコーンを挟んでクビ差で6着。勝った
オメガパフュームからはコンマ8秒差だった。先頭のまま直線を向いたときにはまだ手応えは残っていて、ひょっとしてと思わせた。
ぴたりと2番手を追走してきた2年前のこのレースの勝ち馬、
アポロケンタッキーが10着(
スーパーステションとは1秒7差)に沈んだことを考えるとよく粘った。スタート直後から
アポロケンタッキーに突かれ、冒頭で書いたとおりの厳しいペース。単騎でもう少し楽に逃げられていれば、さらに際どいところがあったかもしれない。
スーパーステションについては予想で、「
道営記念(2000m)の勝ちタイム2分5秒3は、ダート
グレードで通用してもまったく不思議はないパフォーマンス」と書いたが、まさしくそのとおりの実力を示した。