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ここでも強さを見せた3歳馬、オメガパフューム/東京大賞典回顧(斎藤修)

  • 2018年12月30日(日) 18時00分
 逃げて直線を向いても先頭で、一瞬、おっ?っと思わせた北海道のスーパーステション。これについてはあとで触れるとして、まずは人気・実力上位の3頭がそれぞれ持ち味を発揮し、ゴール前の争いとなった。

 大外枠から押して出てきたアポロケンタッキーに突かれ、逃げたスーパーステションの1000m通過は61秒2。これは今の大井の馬場ではなかなかに厳しいペース。やや離れての3番手がヤマミダンスリーゼントロックだが、これは格下。さらに差があって5番手がケイティブレイブで、先頭との差を計ると1000m通過は62秒6。このあたりが先行馬として理想的なペースで、相手の出方次第で逃げることも控えることもできるようになったケイティブレイブにとっては絶好のレース運びだったと思われる。

 ゴールドドリームは相変わらずスタートのタイミングが合わないようで置かれてしまったが、2コーナーまでに無理せず中団まで位置取りを上げた。オメガパフュームは互角のスタートも13番手(後方から4番手)まで位置取りを下げた。

 ケイティブレイブが先頭に立ったのは直線半ば、残り200mのあたり。ゴールドドリームオメガパフュームは直線を向いたところで、すでにケイティブレイブから2馬身ほどのところに迫っていて、終いに使える脚を考えると、この位置関係ではケイティブレイブには分が悪い。

 そのとおり、オメガパフュームがメンバー中最速の38秒5の末脚でまとめて差し切った。JBCクラシックでは3、4コーナーでケイティブレイブに差を広げられたぶん、ゴール前で追い詰めるも届かなかったが、今回は4コーナー手前あたりで完全にケイティブレイブを射程圏に入れたことが勝利につながった。それにしても、JBCクラシック(2着)、チャンピオンズC(5着)に続き、一線級相手にこの秋3戦目、キャリア8戦の若い3歳馬をよくピークにもってこられたものと思う。

 2着だったゴールドドリームは、直線でオメガパフュームと馬体を併せるように伸び、ケイティブレイブを交わしたが、オメガパフュームのほうが勢いが勝って3/4馬身及ばず。直線を向いてオメガパフュームが外から馬体を併せてきた、というよりかぶせてきたとき、ゴールドドリームの真ん前にはケイティブレイブがいて行き場を失うような場面があった。さらに直線の瞬発力勝負では2kgの斤量差も大きい。

 ルヴァンスレーヴが不在となっても、ダートでは3歳世代ナンバー2的存在のオメガパフュームが、古馬のトップ2を一蹴。あらためて世代レベルの高さを示した。とはいえこの3頭は紙一重の実力であることも確か。来年はこれにルヴァンスレーヴも加わっての覇権争いとなるのだろう。

 オメガパフューム父スウェプトオーヴァーボードは、芝でもダートでも活躍馬を出していて、芝ではスプリンターズS連覇のレッドファルクスがいるが、ダートでは産駒によるGI初制覇となった。

 船橋移籍初戦として臨んだ8歳のサウンドトゥルーは、ケイティブレイブから1馬身半差で4着。スタート後は最後方で、4コーナーでは中団9番手から前に迫った。上り3F=38秒8は、勝ったオメガパフュームに次ぐもの。見せ場はつくったが、最後は1、2着馬と脚色が一緒で、全盛時に比べると最後のキレはちょっともの足りない。

 そして2歳時の北海道2歳優駿(6着)以来のダートグレード挑戦がGIの舞台となったスーパーステションは、4着のサウンドトゥルーからハナ差5着のエイコーンを挟んでクビ差で6着。勝ったオメガパフュームからはコンマ8秒差だった。先頭のまま直線を向いたときにはまだ手応えは残っていて、ひょっとしてと思わせた。

 ぴたりと2番手を追走してきた2年前のこのレースの勝ち馬、アポロケンタッキーが10着(スーパーステションとは1秒7差)に沈んだことを考えるとよく粘った。スタート直後からアポロケンタッキーに突かれ、冒頭で書いたとおりの厳しいペース。単騎でもう少し楽に逃げられていれば、さらに際どいところがあったかもしれない。スーパーステションについては予想で、「道営記念(2000m)の勝ちタイム2分5秒3は、ダートグレードで通用してもまったく不思議はないパフォーマンス」と書いたが、まさしくそのとおりの実力を示した。

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