1番枠から出た
内田博幸の
タニノフランケル、3番
コズミックフォース、9番
ストロングタイタン、10番
ヤングマンパワーらが速いスタートを切り、正面スタンド前に差しかかった。
トップハンデの58kgを背負った
松岡正海の
ウインブライトもポンとゲートを出て、それらから少し遅れた外目につけた。
「もうちょっと前になると思っていたのですが、意外と主張して行く馬が多かったですね」と松岡。
タニノフランケルが先頭を取り切り、1コーナーに入って行く。53kgという軽量と、「行った者勝ち」になりやすいコース特性を生かそうという内田に迷いはなかった。
単騎逃げの形に持ち込んだ
タニノフランケルは、1、2コーナーを回りながらリードを3馬身ほどにひろげ、向正面へ。
2番手は
コズミックフォース。
ウインブライトは、そこから5馬身ほど離れた中団の外で折り合いをつけた。その内に、1番人気の
マウントゴールドがいる。
1000m通過は59秒9。先頭から最後尾までは11、2馬身か。
前残りの展開になるのを嫌った
藤岡佑介の
ステイフーリッシュが後方から一気に進出し、3番手の外につけて3コーナーに入って行った。
各馬の鞍上の手が動き出した。
タニノフランケルが1馬身ほどのリードを保ったまま直線へ。
ウインブライトは、前に障害物となる馬のいない外をスムーズに回り、先行馬との差を詰める。ラスト200m地点で、逃げる
タニノフランケルとの差はまだ3、4馬身あった。それでも松岡は「直線では差し切る脚があるので安心していた」という。
タニノフランケル、
ステイフーリッシュら、内の馬も止まっていなかったが、
ウインブライトの伸び脚が優っていた。
ゴールまでラスト4、5完歩のところで
ウインブライトが並びかけ、豪快に抜き去った。
勝ちタイムは1分59秒2。
半馬身差の2着は
ステイフーリッシュ、首差の3着には
タニノフランケルが粘った。
1番人気の
マウントゴールドは12着、2番人気の
タイムフライヤーは5着だった。
ウインブライトは、これが重賞4勝目。うち3勝が【4-2-0-1】と得意の中山芝コースでのものだ。
このハンデだと、前が詰まってエンジンをかけ直す場面があると間に合わなかっただろう。そうした心配のない、クリアなコース取りに徹した松岡の冷静な騎乗が、中山巧者の力をフルに引き出した。
(文:島田明宏)