今週は9日が夜明け前から雪。調教時間中にもドカドカと降る時間帯があり、調教VTRでもその様子が映っている場面もあったと思う。実際、トラック馬場は向正面が確認しにくいくらい視界不良の時間帯もあったので、馬場だけでなく、視界的な面でも影響を与えたといってよい。
また、CWコースは昨年12月に凍結防止剤が散布されている。その影響もあり、雨や雪が降ると、重くなる状態が続いている。9日の午後には少し晴れ間もあったので、10日は多少乾いた馬場状態にはなっているが、先週よりも走りにくい状態であることは間違いない。
【坂路/4F51.9秒】
1月9日。一番時計は
コウエイエンブレム(栗東・山内研二厩舎)の4F50.9秒。4F50秒台はこの馬だけで、あとは4F51秒台だが、この頭数もかなり少ない。追い切り自体が10日にも分散していたとはいえ、それでも速い時計が出にくい状態になっている。
ただ、終い重点だと素晴らしい動きを見せた馬も何頭かいた。
日経新春杯(1月13日・京都芝2400m)に出走予定の
エーティーサンダー(栗東・湯窪幸雄厩舎)は4F52.4秒だが、2Fが24.3秒。しかも雪が降りしきる中での動きだけに、厳しい局面になればなるほど動けるタイプなのかも知れない。
1月10日。一番時計は4F50.5秒の
サンビショップ(栗東・
谷潔厩舎)。4F50秒台は他に2頭いたが、4F51秒台の頭数はやはり少ない。
時計を要する馬場状態は前日から引き続いているが、
淀短距離S(1月14日・京都芝1200m)の出走を予定している
アンヴァルは先週に続いて素晴らしい動き。馬場中央をまっすぐと駆け上がってくるフォームは美しく、見ていて惚れ惚れとする。時計は4F54.2秒と全体は遅いが、4F目は12.1秒で最速。これを余裕でマークするのだから、やはり現状のパワーは本当に魅力的。
先週の馬場差は「±0.0秒」。今週は雪が降った影響を受けた馬場で、先週よりも時計を要していると判断した。よって今週は9日、10日とも『+0.2秒』の馬場差を記録している。
【CW/5F66.0秒】
1月9日。冒頭にも記したように、吹雪く時間帯もあり、それが時計に影響した追い切りもあったくらい。また、雪の量も少なくないので、馬場に与えた影響も多分にあったと思われる。具体的に記すと、吹雪いている中での追い切りは向正面でラップが速くなりやすく、その分、最後の直線でバテてしまうといったケースが何度か見られた。
よって、追い切り時計としては全体的に速いものを評価するよりは、4F時計が速い上、終いもしっかり速い数字をマークしているような内容を評価する方がよいだろう。
1月10日。雪こそ降っていないが、ウッドチップ馬場の状態は決して良くない。そういったことを考慮した上で追い切っている陣営も多数あったが、馬の気性的な問題もあって、前半ゆっくり入る追い切りだったのは、
東海S(1月20日・中京ダート1800m)の出走を予定している
モルトベーネ(栗東・松永昌博厩舎)。
普段の調教から口向きの悪い馬で、騎乗した藤岡康太騎手も苦労していたが、なんとかうまくなだめて終いに脚を使わせる内容。6F87.8秒は遅いが、1F12.0秒の伸びはなかなか。同レースは一昨年2着、昨年3着という実績があるだけに、馬券的な妙味があるかも知れない。
先週の馬場差は「±0.0秒」。今週は雪の影響があり、先週よりも少しだけ時計を要する状態と判断。よって、今週の馬場差は『+0.2秒』で9日、10日とも記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週は芝馬場での追い切りが少数。馬場状態としてはごく標準だったので、馬場差としては9日、10日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場での追い切りは雪が降った影響もあり、先週よりもかなり増えている。馬場状態としては晴れている時と変わらず、柔らかさがあり、適度な時計が出る状態。今週の馬場差も『+0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)