「そのうちダートの追い込み馬同士でポジション争いが起きたりして」
こう口にしたのは
サンライズノヴァを担当する棚江助手。砂路線のトップクラスに追い込み馬が増えつつある現状を冗談めかしながら憂慮したものだ。
確かに当の
サンライズノヴァはもちろん、
ウェスタールンド、
コパノキッキング…このところ強烈な末脚を駆使するダート馬が目立ってきた。
そして今週のGIII
根岸S(27日=東京ダ1400メートル)では「
サンライズノヴァVS
コパノキッキング」という豪脚同士の初対決が実現する。
「地方の深いダートは合わないし、
ウェスタールンドみたいに器用に加速できない馬ですからね。車に例えるとトラックみたい。この馬にとっては直線の長い東京が走りどころというか、本当に(勝負どころが)
根岸Sと
フェブラリーSしかないんですよ」(棚江助手)
サンライズノヴァの勝負気配の強さは当然、要チェックだが、
コパノキッキングもやはり侮れない。
「なかなか、こういう馬はいないですよ。ウチにいた
コパノリッキーとはタイプが違って、芝馬みたいに柔らかく、競馬に行くとあれだけの脚を使ってくれる。1400メートルで負けた2回(500万下2着、
大阪スポーツ杯4着)は、ともにテンションが高過ぎた。そこが一番の敗因で、今のレースぶりを見ると距離は大丈夫かな」(柴田助手)
取材の途中にポツリと漏らした「セン馬というのが、もったいないですよね」という言葉が、何より
コパノキッキングに対する期待度を物語る。本来なら種牡馬入りを意識させるほどの器ということだ。
根岸Sといえば、古くはダート1200メートル施行の2000年に
ブロードアピールが“視覚的に歴史に残る”追い込み勝利を決めたレースとして知られるが、現1400メートル施行後も12年
シルクフォーチュン、17年
カフジテイク、18年
ノンコノユメなど、強烈な追い込みを決めるシーンがよく見られる。
今年は
サンライズノヴァと
コパノキッキングの「末脚勝負」が、スタンドを大いに沸かせるのではないだろうか。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ