来年のことを言えば鬼が笑うという。だが、言わずにはいられない。西高東低の図式がとりわけ顕著なのがダート路線で、
フェブラリーSがGI昇格後、関東馬のVはわずかに3回。昨年
ノンコノユメが制するまで実に19連敗([地]馬Vが1回)を記録した。
今年の
フェブラリーSも東から参戦は昨年の覇者1頭のみという惨状だ。ゆえに今週
ヒヤシンスS(3歳オープンL、東京ダ1600メートル)にこそ宴会野郎は来年の夢を託す。登録馬を見ると少しずつ光が差し込んできた印象も…。そう、上位人気は揃って東の精鋭たちだ。
「前走(
全日本2歳優駿2着)はゴール過ぎにはかわしていただけに、惜しい頭差だったね。ただ、どの競馬場でも物おじせずにしっかり走れるのがこの馬の良さ。放牧でしっかり休養を取って馬体が充実し、以前より追い切りも動くようになってきた。今回は斤量が他より1キロ重くなるけど、しっかり勝てるように仕上げたい」
こう言って胸を張ったのは
デルマルーヴルを送り出す
戸田博文調教師。鞍上が兵庫
ジュニアGPまで3連勝したルメールに戻るのは心強いが、指揮官には「この馬にはまだ隠された上のギアがありそう」との見立てもある。オフレコ話なので記事にできないが、おそらくレース映像を見てもらえれば読者もその理由が分かるだろう。“第2の
ルヴァンス”たる可能性も秘めた馬である。
一方で「自分の走りができればヒケは取らない」とは
メイクハッピーを担当する遠藤英美厩務員。
全日本2歳優駿は0秒9差4着に終わったが、こちらも巻き返しに手応えを示している。
「初めてダートからのスタートだったせいか、前走はクビくらい出負け。その分、道中は内で窮屈な競馬を強いられましたね。ただ、芝スタートだった東京2戦の出はまさに
ロケット。ゲートセンスがいいので、どんな競馬もできるのが最大の強みでしょう。先週末のウッドの動きも良く、感じはいいですよ」
ダート施行に替わった97年以降、優勝はオール牡馬と、牝馬にはハードル高き特別戦だが「以前に担当した[地]
マスクトヒーロー(中央ダート5勝)くらいの素質は感じる」とあれば侮れまい。いずれにせよ、“砂のフューチュリティS”の呼称にふさわしいダートの出世レース。いくら鬼が笑おうとも…。来年の
フェブラリーSを意識させるくらいの走りを東の若駒たちに期待したい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ