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オメガパフューム 若き指揮官・安田師のV戦略/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年02月15日(金) 18時00分
 人は何か違和感を持ったとき、どのように確認し、軌道修正していくのだろうか? 最も簡単な方法は同じことを繰り返し、再び違和感を持つかどうかをチェックすることだろうが、その逆も確認作業になるらしい。

 そんなことを考えたのは、チャンピオンズCで5着に敗れたオメガパフュームが、同じ中京ダート1800メートルの東海Sではなく、大井2000メートルの東京大賞典からフェブラリーSへのローテーションを選択したため。賞金を持ち過ぎている馬が他馬よりも重い斤量を嫌い、前哨戦である東海S根岸Sを避けるパターンはよくあるが、オメガパフュームなら55キロベースからの1キロ増(56キロ)。普通に東海Sステップにしても問題なかった。管理する安田翔調教師も「正直に言えば、東海Sを考えたことはありました」と。

 しかし、その決断をせずに強敵相手の東京大賞典に向かったのは、前述したような発想が安田翔師の頭の中にあったためだという。

「手前を替え切れなかったチャンピオンズCが少し行儀の悪い走りでしたからね。同じことを大井競馬場でもするのかどうか。それを確認したかったんです。仮に大井でもそのような走りをするのであれば、根本的な問題として対策を考えなくてはならないし、そうでないのであれば、中京コースが理由ということになりますよね? 行儀の悪いレースをしたコースでバランス良く走れなかった場合、その不安を抱えたままフェブラリーSへと向かうことになるじゃないですか。それはさせたくなかった」

 幸いにして東京大賞典ではしっかりと走り、ゴールドドリームを差し切る好結果を得たが、タイトルを獲得したことだけが良かったわけではない。抱えた課題を持ち越さなかったことが一番の収穫だったのだ。

 ちなみに安田翔師は父の安田隆キュウ舎で調教助手をしていた時代に2011年トランセンド、13年グレープブランデーと2度のフェブラリーS制覇に立ち会っているが、前者はJCダートからの直行、後者は東海Sステップにしている。今回のオメガパフュームとは異なるローテーションだが、参考にしたのは日程ではなく、当時の経験だ。

「重要なのはそこに至るまでの過程であり、馬によって違いが出るのは当たり前。オメガパフュームに関して言えば、東京大賞典を使った段階で、年内のどこかをひと叩きするという考えは消えました。当時の経験が参考になっているところはありますよ」

 府中の1600メートルとは似ても似つかない東京大賞典からの参戦。そこに意味を見いだす若きトレーナーの姿勢に一票を投じてみたくなった。

 (栗東の本紙野郎・松浪大樹)

東京スポーツ

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