今年からリステッド競走が新設され、出走
ボーダーラインも1600万円とやや高めな一戦となった今年の
桜花賞。そんななか前哨戦で好走して本番へ挑む馬たちとコンビを組むパートナーのなかには、悲願の
JRA・GIタイトル獲得がかかる騎手も。そこで今週は今なお活躍する現役ジョッキーのなかで、GI初制覇を
桜花賞で飾った騎手たちをご紹介していきます。
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スティルインラブ 10年越しの夢をもたらした優等生
幸英明騎手のデビューは1994年。2010年に当時
JRA史上初となる年間騎乗回数1000回超えを達成(2012年、2015年、2017年にも1000回越え)し、昨年には史上最速で
JRA通算19000回騎乗を達成するなど、長年にわたり第一線で活動を続けている幸騎手。
そんな
幸英明騎手は、それまでもGIでたびたび馬券圏内に入っていたが、初制覇はデビュー10年目の2003年、48回目の挑戦での達成となった。パートナーを組んだのは、デビューから手綱を取る
スティルインラブ。デビュー2連勝で
紅梅Sを制し、前哨戦の
チューリップ賞ではクビ差の2着と有力馬の一角を担っていた。
この年の
桜花賞は、
武豊騎手が騎乗する
エアグルーヴの初仔・
アドマイヤグルーヴが、血統背景や前走の
若葉Sで牡馬をねじ伏せた実績も後押しし、1番人気に。
スティルインラブはこれに続く僅差の2番人気となり、3番人気に安藤勝己騎手の
ヤマカツリリーと続いていた。
スタートで
アドマイヤグルーヴが出遅れ場内がどよめく中、9番枠からゲートを出た
スティルインラブは、これまでと同じように前目のポジションへ。半マイル46秒台のやや速めのペースでレースが展開していく中、幸騎手は残り600mあたりの早い段階で
スティルインラブを促していく。
4コーナーから徐々に外目へ持ち出していき直線で前が空くと、早めに抜け出して残り200mあたりで先頭に。内で粘る
池添謙一騎手の
シーイズトウショウ、外から伸びてくるラ
イバル・
アドマイヤグルーヴの2頭を寄せ付けずに1馬身半差の快勝を収めた。
ゴール後、前年の
桜花賞でGI初制覇を成し遂げた
池添謙一騎手が、GIジョッキーの仲間入りを果たした幸騎手に手を差し伸べる。その後
スティルインラブと
幸英明騎手は、1986年の
メジロラモーヌ以来となる牝馬三冠を達成。GI初制覇まで10年かかった幸騎手は、そこからわずか半年の間で三冠ジョッキーへと昇り詰めるのであった。