JRA枠は4頭だが選定馬確定後に
ゴールドクイーンが回避。さらに発走直前、1番人気に支持されていた
オウケンビリーヴがゲートを突進し、故障発症で競走除外。7頭立てとなって、さらに馬券圏内の争いが絞られるメンバーとなった。
マイペースでの逃げが好走条件の
アイアンテーラーにとっての懸案は、下級条件で連勝している
チークスがハナを主張してくるのかどうかということ。果たして、さすがに一線級と対戦経験のない
チークスの笹川騎手はそうはせず、スタートのタイミングもあまりよくなかったことで、控えて外に持ち出した。
アイアンテーラーはゲートが開いた直後に軽く気合をつけただけで難なく先頭へ。
リエノテソーロ、
ラーゴブルーという人気上位馬が直後につけて隊列がすぐに決まった。
アイアンテーラーにとっては理想的な展開だ。
能力差のあるメンバーのダート
グレードでは、馬群が2つに分かれたり、縦長になったりということが常だが、連勝中の
チークスのみならず、
ベニアカリや
エミノマユアクら明らかな格下の馬たちも前半は先行有力勢の直後を追走できるスローペース。ラップタイムを見ても、前半の800mまではきっちり12秒台後半のラップが並んだ。
そうなると向正面中間〜3コーナーの勝負どころで前がペースアップするのは必然。レース中間の800m過ぎから、12秒3、12秒0とペースが上がったところで、
ベニアカリ、
エミノマユアクが遅れだし、
チークスも追走に一杯になった。
4コーナーからは人気3頭に絞られての追い比べとなった。
ラーゴブルーは、
アイアンテーラーの直後で手応え抜群。直線を向いて
リエノテソーロが脱落すると、
ラーゴブルーは
アイアンテーラーの外から並びかけ、見事に差し切って見せた。
少頭数ゆえどの馬にも道中で不利などなく、人気3頭も存分に能力を発揮した。
オウケンビリーヴの除外によって1番人気となった
アイアンテーラーは完璧に自分の展開に持ち込んで差し切られたのだから、勝った
ラーゴブルーの充実ぶりを褒めるしかない。
ラーゴブルーは、牡馬相手に
宝塚記念2着など活躍した
デニムアンドルビーの4歳下で、昨年の
皐月賞で3番人気に支持された
キタノコマンドール(5着)の一歳上という期待の血統背景。中央未勝利のまま川崎に移籍してきたのは成長が遅れたため。
昨年7月のスパー
キングレディーCでは、
リエノテソーロ、
オウケンビリーヴの接戦から差のある6着と見せ場をつくれなかったが、そのあと大井のマイル戦で4戦3勝2着1回。その中では57kgや58kgを背負ってのレースを経験。今回、そもそもの少頭数に加えて有力馬の除外という幸運があったにしても、この1年での充実ぶりを見せた。
遡ること昨年4月、重賞初挑戦で勝利した浦和・
しらさぎ賞のあとの
内田勝義調教師のコメントを振り返ってみる。
「成長が遅れていた馬だから、まだまだよくなる。おそらく兄弟の中では遅れていたほうじゃないですか。まだこれから古馬になってよくなるんじゃないかな。同じ兄弟でもそういうこと(成長度合いの違い)はありますから。あわてないでゆっくりやっていきます」
1年以上前に描いていたとおりの成長を見事に遂げた
ラーゴブルー。そしてそれはおそらくまだ途上の段階で、今後のさらなるパワーアップも期待できそうだ。