オークスへの2枚の切符をかけた、第54回
フローラステークスのゲートが開いた。
5枠9番の
ジョディーがハナに立った。差のない2番手は、同枠10番から出た1番人気の
セラピア。前に馬を置くことができず、掛かってしまった。
逃げて全2勝を挙げている
ウィクトーリアは、後方からの競馬になった。実戦ではこれが初騎乗だった
戸崎圭太は言う。
「作戦では逃げるつもりだったのですが、スタートで出遅れてしまったので、こういう形になりました」
最初のコーナーを回りながら、戸崎は
ウィクトーリアを内埒沿いに誘導した。そのまま引っ張り切れないほどの手応えで向正面に入り、スルスルと中団まで押し上げた。
ウィクトーリアの2馬身ほど前を、これも抜群の手応えの
シャドウディーヴァが走っている。
前半1000m通過は1分00秒6。掛かり気味の馬が複数いて、2番手以下が密集しつつあったところを見ると、やや遅めの平均ペースといったところか。
ジョディーが単騎先頭のまま直線に入った。
5馬身ほど後ろの内の
シャドウディーヴァと
ウィクトーリアは相変わらず余裕たっぷりの手応えだ。
ラスト400m。
シャドウディーヴァは、進路は狭いがコースロスのないインコースをそのまま進んだ。
一方、直後にいた
ウィクトーリアは、少しずつ外に進路を取って馬場の真ん中に出た。
ラスト200m。まだ
ジョディーが先頭で頑張っている。進路を探していた
シャドウディーヴァはその内を狙う。
その時点で
ウィクトーリアは先頭から3馬身以上遅れていたが、代わりに、目の前のスペースがクリアになった。
ゴールまで10完歩ほどのところで、最内から
シャドウディーヴァが先頭に躍り出た。
2番手は
ジョディー。2頭を挟んだ外から
ウィクトーリアが猛然と伸びてくる。
ウィクトーリアが凄まじい切れを見せ、
シャドウディーヴァをハナ差かわして勝利をもぎ取った。
勝ちタイムは1分59秒5。上がり3ハロンはメンバー最速の33秒2。鞍上の腹を括った後方待機策が見事にハマり、デビュー5戦目にして初めて最速の上がりを繰り出し、
オークスの有力候補の1頭となった。
「素晴らしい伸びを見せてくれました。良血馬でもありますし、
オークスまでさらに成長してほしいですね」と戸崎。
母ブラックエンブレムは
秋華賞馬で、兄には
札幌2歳ステークスを勝った
ブライトエンブレム、
エプソムカップなど重賞2着2回の
アストラエンブレムなどがいる。
なお、出走馬18頭の半数の9頭がノーザンファーム生産馬で、1着から6着まで同牧場の生産馬だった。