「天皇賞(春)・G1」(28日、京都)
実績最上位の相棒
フィエールマンを信じ、火花散るたたき合いを制して平成最後のG1を奪取。
クリストフ・ルメール騎手(39)=栗東・フリー=が、JRA・G1・3連勝を飾るとともに、史上3人目となる八大競走
グランドスラムを達成した。JRA騎手5年目にして早くも通算1000勝に王手をかけるなど勢いは天井知らず。令和の世も“ルメール時代”となりそうだ。
名手の手綱さばきが勝利を引き寄せた。抜け出した2頭の激しいたたき合い。
フィエールマンのルメールがこん身の手綱さばきで首差のリードを保ったまま、
グローリーヴェイズを封じ込んだ。「激しい戦いでしたね。馬が
リラックスしていたし、自分で動いてポジションも上げられた。イメージ通り。大外から馬が来た時も心配していなかった」と笑みを浮かべながら振り返った。
わずかキャリア6戦で
菊花賞に続くG1制覇を決めた相棒に「
凱旋門賞に行ってもチャンスがある」と高評価。母はルメールの祖国でG1を勝った
リュヌドール。鞍上も対戦したことがある名牝だ。「母はフランスの馬です。だからフランスが好きかもしれない。馬場も料理も」。そう言って笑わせ、「スタミナがあって能力が高い。2000メートルでも2400メートルでもいける。レースごとに強くなります。どこまでいけるか」と無限の可能性を感じ取っていた。
鞍上の勢いも止まらない。
皐月賞を
サートゥルナーリアで制してクラシック完全制覇を飾り、今回は保田隆芳元調教師、
武豊に続く史上3人目の八大競走完全制覇を達成した。
ドバイターフの
アーモンドアイ、
桜花賞の
グランアレグリア、
皐月賞、そして
天皇賞・春と国内外の大舞台で活躍。この日の最終12RではJRA通算999勝となり、区切りの1000勝に王手をかけた。
短期免許で初来日した02年。12月7日の中京3R
クラシカルヴォーグ(12着)でJRAデビューを果たした。翌8日の中京2R
ヤマニンロータスで初勝利。05年の
有馬記念では
ハーツクライで圧倒的1番人気の
ディープインパクトを破り、日本のG1初勝利を手にした。15年にはJRA騎手免許に一発合格。18年にはJRA新記録となる215勝を挙げて、2年連続でリーディングに輝き、騎手のタイトルを総なめにした。
平成最後のJRA・G1を、今の
中央競馬界を象徴する男が締めくくった。もちろん、令和の時代も主役としてリードしていく。
提供:デイリースポーツ