美浦居残りになった先週土曜は、連休でごった返す阿見WINSを経由して帰宅。購入した馬券を手にワクワクしつつテレビをつけると、すでに不穏な空気が漂っていた。画面に映し出されたのは、大粒のひょうが爆音とともに芝コースに飛散するシーン。五月晴れの千葉からは想像できない荒天で、まさかこの季節に開催中止とは関係者も思わなかったろう。
翌週(7日)のトレセンでは「装鞍も終わり、送り出すだけだったんだけど…」(
奥村武調教師)と残念そうな声が相次いだ。
NHKマイルCの
グランアレグリア凡走(5着)も、ひょっとしたら前日の府中入りが裏目に作用したのかもしれない。
令和初っぱなに痛感したのは、競馬は何があるか分からない――。その意味で今週の
ヴィクトリアマイルはフィジカルよりメンタル面を重視した。中でも注目は「デビューから一度も崩れず走るんだから大した馬」と
国枝栄調教師がたたえる
フロンテアクイーンだ。
前走の
中山牝馬Sはデビューから実に25戦目、6歳春にして待望のタイトル奪取。まさに遅咲きの代表格だが、興味深いのは同じ
メイショウサムソン産駒の6歳馬
デンコウアンジュも今春の
福島牝馬Sで4年ぶりの重賞Vを果たした点にある。
「使い込むと競馬に飽きて走らなくなる馬は多いけど、この馬はさまざまな経験を糧にイレ込みが消えて余計なことをしなくなった。普段が落ち着ける分、必要な時に反応できるんだ。確かサムソンも一戦ごとに強くなって、ダービー制覇はデビューから11戦目だったよな。父のメンタルを受け継いでいるんだろうか」(国枝調教師)
だんだん良くなる法華の太鼓ではないが、枯れて味が出る血統なのだろう。思えば、昨年は1週前の心房細動で
ヴィクトリアマイルを無念の回避。今回は苦難を乗り越えた3年越しのリベンジ(17年8着)の舞台でもある。
「馬が臨戦態勢にあるというか、こっちの反応を待っている感じ。普段の歩きからドッシリしているし、レースが非常に楽しみですね。ハナ差しのいだ前走のように、勝負根性をうまく引き出せれば」と、1週前に同馬のメンタルを強調したのは
三浦皇成。思えば、鞍上にとっても実に80回目のGI挑戦…。先週の
プリンシパルSの返還額は、もはや何があっても動じない“叩き上げコンビ”にそのままつぎ込む算段だ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ