今週から令和2年のクラシックホースを決める戦いが始まるとあって、栗東トレセンにも2歳馬が増えてきた。そうなるとトレセンは“にぎやか”になるもので、ビービー鳴いたり、物見して立ち止まったり、暴れたりと、幼さ全開のシーンを多く見かけるようになるわけだが…
そんな中、2歳馬に交じって一緒に鳴いてしまうような2つ年上の古馬が
安田記念に出走する。
エントシャイデンだ。
「乗っているこっちが恥ずかしくなってしまいますよね。“おまえ、何歳やねん”って。それだけ精神的に幼いってことなんでしょう」と苦笑交じりに口にしたのは宮内助手。調教でも「一頭になるとキョロキョロして、変な感じになることがある」とか。裏を返せば、そんな幼さがありながら、オープンまで勝ち上がり、GIの舞台に立とうとしているのだから、能力の高さは推して知るべしだ。
「前走(
京王杯SC11着)は出遅れが痛かったですね。直線もビッシリ追えたわけじゃなかったし… 本来、詰めて使うと疲れが残りやすい馬なんですが、走り切っていなかったからか、ダメージは全くありませんでした」(宮内助手)
担当しているのは田代厩務員。栗東きっての「こわもて」だが、馬に対する
ジャッジはピカイチ。古川厩舎で攻め専の助手をしていたころは、スタッフの多くが「田代の言うことは間違いない」と絶大な信頼を寄せていた。そんな田代厩務員が「前走も仕上がりは良かったけど、使って体が締まった。今後はもっと動けるんちゃうか」と言うのだから、一発候補としてマークは怠れない?
実は狙えるもう一つの要素があって、田代厩務員いわく「ウチの厩舎にとって東京はホームグラウンドみたいなものだからな」
確かにその通りで、矢作厩舎は開業以来、阪神、京都に次いで管理馬を出走させてきたのが、この東京コース(941走)。4位の中京(604走)に300走以上もの差をつけているのだから、どれだけ東京を“愛している”かが分かるだろう。
JRA・GI6勝のうち最多の4勝も、やはり東京。まさに矢作厩舎にとって東京は“ホーム”なのだ。
もちろん、
モズアスコットの連覇というシナリオも考えられるが、“若き”伏兵の大駆けも面白い。強敵相手に
エントシャイデンがかき乱してくれることをひそかに期待している。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ