上半期の古馬牝馬が目標とする
ヴィクトリアマイルが終わる→賞金を持った馬が休養に入り、空き巣状態に→条件馬が軽いハンデでやたらと出走。そのため高度な“読解力”が要求されるレースが日曜(9日)阪神メインのGIII
マーメイドS(芝内2000メートル)だ。
人気通りに収まることは極めて少なく、昨年勝ったのも10番人気の
アンドリエッテだった。
「勝因はやっぱりハンデ(51キロ)と“ここしかない”というジョッキー(国分恭)の好騎乗ですね。馬も最高のデキに仕上がっていました」とは牧田調教師。
アンドリエッテといえば、デビュー当初から厩舎が大きな期待を寄せていた
ディープインパクト産駒で、牝馬3冠でも6、5、4着と、
バイプレーヤーとして活躍した馬だった。
「あれだけの馬だし、どこかでタイトルを取らせたいと思っていたんです。
マーメイドSは狙い通りでしたね」(牧田師)
その後は1走(
クイーンS5着)しただけで引退。まさに一生に一度の大駆けだった。
アンドリエッテほどの成績を残したわけではないが、今年の出走馬の中にも昨年、牝馬クラシックに顔をのぞかせていた馬がいる。
スカーレットカラーだ。
フェアリーS2着、
桜花賞8着など、“脇役”として参加していた。ただし、このころは調整が順調にいくことが少なく、陣営も苦労が多かったという。
「
オークスも直前でアク
シデント(フレグモーネ)があって出走できなかったし、
秋華賞は出走取り消し(左後肢跛行)。あのころは爪も含めて、とにかく体質が弱かった」と話すのは
高橋亮調教師。そのため追い切りで一杯に追われることはほとんどなかったという。
それがどうだ。
マーメイドSの1週前追い切りでは、ウッドでテンからスピードに乗せてビッシリ追い切り、6ハロン78・9秒の自己ベストを叩き出している。
「前走(
パールS1着)からなんだけど、こんなに順調にきているのはこの馬にとって初めてのこと。今まで大事にしてきたことが実ったのかな」とトレーナー。
以前はテンに置かれ、後方からという競馬が定番だった馬が、
パールSではスッとゲートを出て、好位から押し切る“新機軸”を披露。「岩田(康)さんも“えらいゲートを出るようになった。トモの踏ん張りが違う”と褒めてくれた」とか。
今のデキなら
アンドリエッテに次ぐ“一生に一度の大駆け”も可能?
引き続き依頼していた岩田康が53キロまでしか乗れないため、ハンデがそれより軽くなった時がむしろ厄介だったが、「おそらく53キロになるはず」という
高橋亮師の読みもズバリ的中。これにあやかって?坂路野郎も◎
スカーレットカラーで
マーメイドSズバリ的中といきたいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ