上半期ダート競馬の総決算、
帝王賞(Jpn1)まであと1日。今回は過去10年のデータから
帝王賞が開催される
大井競馬場2000mのコース適性をAI技術を駆使して徹底分析する。
帝王賞含む地方交流重賞は、当然ながらその地元で走っている馬の他に、
JRAから参戦してくる馬も多く、その場合、全体レベルの高い
JRA馬が上位を占めるケースが多い。ただ、それらの
JRA馬は、普段地方で走っていないことが多く、そのコースの得意、不得意が未知であることもしばしばあり、そのような不確定要素が波乱の決着の引き金になり得る。そのため、出走馬のコース適性を把握することは、馬券で勝つための重要な要素なのだ。
各コースの適性を客観的な数値として導き出すのには、非負値行列因子分解と呼ばれる、ECサイトのおすすめ機能などでも使われるAI技術を利用して分析する。過去10年のうち大井交流重賞に出走した経験のある1715頭のレース成績を対象に、コースごとの好走パターンをAIに学習させる。例えば、阪神ダ1800mを好走した馬が、大井ダ2000mも好走した場合は、その2つのコースは似ていると判断できる。
そのようにしてAIで分析した結果、各コースの傾向がどのくらい似ているかを位置にして表したのが図である。
この図の見方は、適性の傾向が似ているコースほど近くに位置し、似ていないコースは遠くに位置するようになっている。
例えば、赤字で示した
帝王賞の大井ダ2000mと近い位置にある船橋ダ2400mは、大井ダ2000mと傾向が似ているということを意味している。一方、遠くに位置する東京ダ1600mは大井ダ2000mと傾向が似ていないということを意味している。
チュウワウィザードは今年3月に大井ダ2000mと最も似ているコースの船橋ダ2400mで開催された
ダイオライト記念(Jpn2)を勝利しており、今回初の大井コースも大きな不安材料とはならないだろう。
中央のコースだと、阪神、中京、京都のダ1800-2000mあたりが比較的大井ダ2000mと傾向が近いことが読み取れる。今回断然人気が予想される
インティは、中京ダ1800mで開催された
東海S(G2)をはじめ、阪神、京都、中京ダ1800mでの実績は十分あるので、コース適性の面もぬかりはない。
また
オメガパフュームは、
ジャパンダートダービー(Jpn1)2着、
東京大賞典(G1)1着と当該コースでの実績を持つ数少ない1頭。前々走の
フェブラリーS(G1)で10着と大敗を喫しているが、東京ダ1600mは大井ダ2000mとは好走傾向が大きく異なることが図から読み取れるので、度外視しても問題なさそうだ。
まとめると、コース適性から選ぶ推奨馬は、
チュウワウィザード、
インティ、
オメガパフュームの3頭。彼らがどんな走りを見せてくれるか、注目したい。