10万円超の3連単が3場で計21発。先週末は波乱続出の
中央競馬だったが、とりわけ荒れたのは関東馬の主戦場たる福島開催だった。むろん悪天候の影響が大だろうが、気がかりはウッドコース消滅による弊害の有無。
調整のサジ加減に微妙な狂いが生じているとすれば、一筋縄でいかない予想との格闘が今夏は続くことになる。
さて、ウッドなき美浦トレセンに現存する調教コースには、それぞれ一長一短がある。故障の不安が少ないのはスピードに制御がかかる坂路だろうが、こちらは距離を乗れないのとコーナーがないのがネック。
一方で距離を求めれば、路盤の硬いダートはひづめ、グリップの利くポリトラックは球節への負担が増す。ゆえにウッドはそれらをカバーする主流コースたり得たのだが…。
こんな今、注目すべきはあえてウッドを避けて、これまで調教してきた馬たちかもしれない。元ウッド勢に死角ありとすれば、狙いは“通常パターン”の調整組という馬券
セオリーはなきにしもあらずだ。
「もともとトモのハマりが良くない馬で、加減しつつの調整を余儀なくされるタイプ。どうしてもウッドは反動が大きく、試行錯誤を重ねて今のポリトラックに行き着きました。冬場より暖かい時期のほうが調整は楽だし、この調教が形になってきたのが近走結果に結びついていますよね」
こう語るのは今週の中京メイン・
プロキオンSに
アルクトスを送り出す三浦貴光助手。彼の言葉通り、年明けの中山・
ポルックスS(ダ9ハロン)は6着に沈んだが、ポリトラック調教に切り替えるや、今春の東京の
オアシスS(ダ8ハロン)→欅S(ダ7ハロン)を連勝。まさに“ポリの申し子”と化して、重賞挑戦の時を迎えた形である。
「トモの関係もありコーナー4つの競馬より、ワンターンが合うんです。加えて左回り(計5勝)がいいというのもありますね。7ハロン戦だった前走は予想外にモタついたけど、今回はスッと好位につけるイメージで馬をつくってきました。東京マイルの走りを見れば、芝スタートもいいはずなので」(同助手)
勝てば、生産者(須崎牧場)にとってはうれしい
JRA重賞初V。
ラジオNIKKEI賞を制した鞍上・田辺も絶好調なだけに、信頼の最後のとりでたる“元祖ポリ調教馬”に今週は期待してみたい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ