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勝って凱旋門賞へ!! シュヴァルにかける橋口元調教師の熱き思い/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年07月20日(土) 06時00分
 日本馬の海外遠征は基本的に相手関係うんぬんより、レースを決めることから始まる。だからこそ、とてつもない名馬と激突してしまうこともあるわけで、欧州競馬の上半期総決算になる来週のキングジョージVI世&クイーンエリザベスSには“現役最強”の表現がふさわしいエネイブルが出走を予定している。

 正直、この馬が出走してくる時点で、われらがシュヴァルグランの勝算は一気に低くなった。今年初戦にもかかわらず、あのマジカルを一蹴したエクリプスSを見て「これはどうにもならねえわ」。誰もがそう思ったのではないだろうか。しかし、シュヴァルグラン陣営はエネイブルの参戦を歓迎しているフシがある。

 セレクトセールに来場していた佐々木オーナーに聞いてみると「単純にうれしいとしか言えない。あのエネイブルをこの目で見ることができるだけでなく、自分の馬と一緒に走るんですから」。さすが世界最高峰のメジャーリーグに挑戦した人物。超ハイレベルになりそうなメンバーにもガックリするそぶりが全くない。

 遠征に同行する大江助手も「もしエネイブルに勝ったら、引退でいいくらい。それ以上の大仕事はありませんからね」と笑顔で旅立った。ならば、こちらも全力応援。次走以降のプランを撤回し、なんなら欧州でそのまま種牡馬になってしまうような、そんな“ドリームラン”を期待しようではないか。

 ところで今回のシュヴァルグランキングジョージ参戦。個人的な“胸アツポイント”は同馬がハーツクライ産駒ということだ。ハーツクライといえば、前年の凱旋門賞馬ハリケーンラン、同年のドバイWCを勝ったエレクトロキューショニストと激しい叩き合いを演じ、「キングジョージ史上に残る名勝負」と地元紙にたたえられた2006年の3着馬。

 記者も現地で取材して記憶に残る遠征だったが、実は遠征当初の状態は芳しくなく、ヒースロー空港到着とともに連絡した橋口弘次郎調教師から「帯同馬を連れてこなかったのは失敗だった。飛行機では水も飲まなかったらしい」と聞かされて、ガックリした記憶がある。そんな状況から巻き返しての3着激走――。懐かしさもあって、久々に橋口さんに電話した。

ハーツクライは度胸が良かったんだよ。確かに輸送ではヘコたれてしまったんだけど、クマーニ調教師に帯同馬を用意してもらってからはカイバも食べるようになったし、なんなら帯同馬を自分の子分のようにして歩くようにもなった。ノド鳴りの心配が出てきていた時期でもあったんだけど、そこを我慢してよく走ってくれたな」と当時を振り返るとともに、ハーツクライ産駒の活躍を誰よりも喜んでいる様子。

 特に自分と同じ坂路の2階で調教を見ていた“仲間”がハーツクライの名を高めてくれることに感謝しているようだ。

「友道君だけでなく、矢作君(リスグラシュー)に須貝君(ジャスタウェイ)の馬も世界でいい走りをしてくれた。他の誰でもなく、自分の近くにいた人たちが結果を出してくれていることを本当にうれしく思っているんだ。

 俺は“日の丸”を背負えるレベルの馬でなければ、海外遠征はできない、したくないと思ってやってきた。

 実際に海外で4走して1着2回、3着2回。これに関しては胸を張れると思っているんだけど、シュヴァルグランジャパンCを勝って、前走のドバイシーマクラシックは2着。“日の丸”を背負う資格を十分に持っている馬だからね。

 ぜひ、この後は凱旋門賞に…。え? 行かない? それはダメ。日本の競馬サークルの誰が先に凱旋門賞を勝つのか? それを競っているんだから、ぜひとも行ってもらわないと。ここで強い馬をやっつけて、どうしても凱旋門賞に行かなきゃダメ――。そんな雰囲気になってほしい」

 最後は現役時を思い出させるような強気な言い回しでゲキを送ってくれた橋口さん。その思いがアスコットに届くと信じている。

(栗東の本紙野郎・松浪大樹)

東京スポーツ

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