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芝実績でもダート適性があったグランドボヌール/サマーチャンピオン回顧(斎藤修)

  • 2019年08月15日(木) 18時00分
 中央勢は5頭いずれも重賞勝ちがなく、とはいえ地方勢も昨年の覇者エイシンバランサーが回避となり、ローカル重賞の勝ち馬ですらマサヤ1頭だけというメンバー。さすがにその力関係では、向正面に入ったあたりから早くも中央5頭が前に固まり、うしろで地方勢はばらばらという展開になった。

 佐賀のコースは、知られるようにラチ沿いの砂が重く内枠は不利と言われ、特に1400m戦では実際に馬番別のデータを見ても1〜3番の成績はたしかによくない。それでも内枠に入った逃げ馬がすんなりハナをとって砂の重くない位置を進めればそれほどの不利にはならないようにも思えるが、どうやらそうでもないようだ。

 予想されたとおり、逃げたのは1番枠に入った人気のスマートレイチェルだった。しかし外の中央馬たちに雁行状態でぴたりとつかれたことではプレッシャーとなっただろう。800m通過48秒4は、このレースとしては平均的なペースだが、それ以上に逃げていたスマートレイチェルにとっては息の入らない展開だったと思われ、3コーナー過ぎで脚が上がってしまった。ただその止まり方からして体調にも問題があったかもしれない。

 向正面で中央5頭一団の後方にいたグランドボヌールが早めに仕掛け直線を向いて単独先頭。そのまま楽勝かに思えたが、直線を向いたところでは4〜5馬身ほども離れた位置にいたヒザクリゲがゴール前一気に迫って並んだところがゴール。グランドボヌールはゴール前で脚は上がっていたが、なんとかハナ差しのいでの勝利となった。

 平均的なペースで流れたわりに、上り3Fも38秒2とかかった。稍重で、それほど時計がかかる馬場ではなかったが、勝ちタイムの1分26秒6は、過去10年で2番めに遅いもの。その数字が、グレード勝ち馬のいないメンバーで争われた今年のレベルを表しているともいえそうだ。

 ダート実績はないものの血統的にダートでも能力を発揮する可能性のあったグランドボヌールが、佐賀1400mをうまくこなしての勝利ではあるが、相手に恵まれたという幸運もあった。

 地方贔屓の見方をすれば、地方からある程度の実績馬が出走していればおおいにチャンスはあったと思われる。それは今年に限ったことではなく、これで8年連続グレード未勝利馬が勝ち馬となった。この時期、中央のオープン馬は休養か北海道滞在という馬が少なくなく、小倉に滞在しているダートの上級クラスの馬にとっては、今年の日程ではオープンの阿蘇Sから中3日。層が薄くなるのも仕方ない。

 2日前に盛岡で行われたクラスターCには、地方馬でもグレード入着経験のある馬が複数頭出走していたが、中央勢が例年以上のレベルの高さで、最先着は一昨年にコースレコードで制したブルドッグボスが5着。それら地方馬の1、2頭でもサマーチャンピオンのほうに出ていればと思わないでもないが、ワンターンの1200mと、ツーターンの1400mでは求められる適性が違うし、何より関東以北の馬にとってこの真夏の時期に佐賀までの長距離輸送はやはり難しい。

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