スマートフォン版へ

ハーツの血のメリットを最大限に生かす/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2019年08月21日(水) 18時00分
 ハーツクライは晩成。自身もそうなら、産駒のイメージも同様だ。もちろん、そんなことは競馬ファンなら誰もが知っている話であり、いまさら声を大にする必要もないように思うだろうが、今年に限っては「ちょっと待てよ」状態なのだ。

 晩成のはずのハーツクライ産駒の2歳馬がすでに5頭も勝ち上がり。そのいずれもが大物感あふれる走りを見せたとなると「考え方を変えなきゃいけないんじゃないの?」って話になってくる。

 そんな彼らの共通項。それは5頭中4頭が2月の半ばまでに誕生した“早生まれ”であること。東京の新馬戦を勝ち上がったサリオス(牡・堀)は1月23日、ワーケア(牡・手塚)は2月12日、中京の新馬戦を制したマイラプソディ(牡・友道)は2月9日。そして今回のコラムの主役であり、新潟2歳Sでも主役を張るであろうウーマンズハートは2月8日生まれだ。

 これも言うまでもないことだが、競走馬の成長は人間のそれよりも早く、若駒のときはその傾向が強く出る。ディープインパクト産駒は“早枯れ”なんて話をよく聞くが、実際は「早生まれ→成長が早い」がゆえの状況であって、4月生まれだったヴィブロス、5月生まれだったエイシンヒカリなどは古馬になってから大成。一方で3歳時に一番の輝きを放ったサトノダイヤモンドは1月の早生まれだった。生まれた時期を確認する行為はPOGの重要な項目のひとつというわけだ。

 話を元に戻そう。いかにスローだったとはいえ、新馬戦のラスト2ハロンのラップは10秒7-10秒9。こんな厳しい状況を涼しい顔で突き抜けたウーマンズハートは、叔父にスプリント路線で活躍したサドンストーム、現在も活躍中のティーハーフがいる血統。単にスプリント寄りなだけではなく、晩成傾向も強い。父にハーツクライを迎えるにあたり、ひと工夫が必要だったことは想像に難くないだろう。

 その話を伊藤助手に振ると「確かにおくての血統が2歳のこの時期にこれだけ走るんだから、早生まれと関係しているのかもしれない」と一応の賛成票は投じてくれたが、その一方で「あれだけの走りをしてくれたけど、まだ緩いところも残っていて、いずれは20キロくらい体重が増えてきそうな感じもする。完成するのはまだ先なのかな」と父系、母系ともに晩成血統であるがゆえの伸びシロも感じている。

 ハーツクライの早生まれといえば、1月18日生まれのリスグラシューが有名で、2歳の早い時期から活躍できたのもそれが理由と思っていたのだが、4歳秋のエリザベス女王杯で待望のGI制覇を果たした彼女は、今夏の宝塚記念まで勝ち、スーパーホースの仲間入りをしてしまったのだから、ハーツクライ産駒の成長力は計り知れない。

 成長力に富むハーツクライを「晩成血統に早期の種付け→早期出産」はメリットのみを追求した生産パターン。これが今後のPOG戦略のキモになるかどうかは、その代表となりそうなウーマンズハートが今回の一戦で示してくれるはずだ。

「父がハーツクライに替わったこともあるだろうし、牝馬に出たこともあると思うけど、お兄ちゃんのデザートストーム(父はサドンストームティーハーフと同じストーミングホーム)と比べると硬さがない。マイルくらいまでなら何の問題もないと思うし、それ以上の距離でも走ってくれそう。調整も順調にできているし、詰まった間隔で新潟に2回の輸送をすることがどうか。あえて不安を探すならそれくらいかな」(伊藤助手)

 ウーマンズハートの走りをしっかりと確認し、年末、来春への布石にする週末にしたい。

(松浪大樹)

東京スポーツ

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す