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ラップを落とさず完璧な逃げ切り、ノブワイルド/オーバルスプリント回顧(斎藤修)

  • 2019年09月13日(金) 18時00分
 昨年と同じ2番枠から好ダッシュを見せたノブワイルドが後続に影をも踏ませぬ逃げ切り。刻んだラップが素晴らしい。スタートから正確に11秒台後半のラップを刻んでいって、1000m通過が59秒1。その後はさすがに12秒8、13秒4と落ちたが、決して一杯になったわけではなく、ワイドファラオこそ直線で差を詰めたものの1馬身半差は余裕の勝利。JRAの4頭にグレード勝ちのあるブルドッグボスら有力馬は、いずれも最後は脚色が一緒になっていた。

 前日の夕方に雷雨があり、やや湿った馬場とはいえ、勝ちタイムの1分25秒3は、過去10年を見ても昨年のウインムートと同タイムで最速。それを他馬に競りかけられずみずから刻んだラップで叩き出したのだから相当優秀だ。

 ノブワイルドは、昨年のオーバルスプリントも、前走のプラチナCも、前半は11秒台のラップで逃げたが、両レースとも、ちょうど中間の4F目では12秒台にラップが落ちている。しかし今回は5F目まできっちり11秒台後半のラップを刻んだ。そればかりか、前述両レースの上り3Fが38秒台だったのに対して、今回は37秒8。これでは後続はなすすべがない。ノブワイルドは逃げ馬としての能力を確実に一段階アップさせた。

 ノブワイルドがマイペースで逃げ切ることができた要因のひとつに、ニュージーランドトロフィーユニコーンSも逃げ切りで勝っていたワイドファラオが競りかけてこなかった、というより競りかけられなかったこともある。

 レース後、福永騎手が「今まで芝のスタートしか経験してなかったから」と話していたが、たしかにノブワイルドとはスタートダッシュの速さがまったく違っていた。

 ワイドファラオにしてみれば、二の脚がついてから直後にとりつくという手もあったが、ノブワイルドと同厩舎で4番枠に入ったエッシャーのダッシュもよく、ワイドファラオが前に行こうと思えばそのエッシャーの外を行かなければならない。エッシャーの笹川騎手がそれを意識していたかどうかはわからないが、1コーナーまでやや外に張るような感じでワイドファラオにプレッシャーをかけているようにも見えた。

 ノブワイルドにとってはエッシャーが緩衝材にもなり、枠順に恵まれたことも確か。それも地元で有力馬を複数頭出走させられる厩舎の強みだろう。

 枠順や展開で、明暗の“暗”のほうになったのが、1番人気に支持されたヤマニンアンプリメ。互角のスタートを切ったものの、9番枠ゆえ徐々に位置取りを下げて2コーナーを回るところで8番手。向正面に入ったあたりでは先頭から10馬身ほども差があった。向正面中間から位置取りを上げていって、4コーナー手前では3番手。

 しかし、ノブワイルドが楽な手応えのまま4コーナーを回って直線を向いたのに対し、2番手のワイドファラオも、続いたヤマニンアンプリメも、すでに追い通し。ここで勝負はついた。ヤマニンアンプリメは、上り最速の37秒4と能力は発揮したが、やはり前が競り合って末脚を生かせる形にならないと勝ち切るまでは難しい。

 今回は、同じ舞台で行われるJBCスプリントの前哨戦として例年以上に注目となった一戦。ノブワイルドはJBCに直行とのこと。ここでこの勝ちかたを見せたからには、本番ではマークが確実にきつくなるだろうし、枠順も気になるところ。

 さらに気になるのは季節的なこと。7月には連闘で習志野きらっとスプリント、プラチナCを制し、これで重賞3連勝。プラチナCを勝ったあと小久保調教師は、馬主がTUBEの前田亘輝さんであることから、「夏はやっぱりいいですね」と笑ってコメントしたが、果たしてそれは単なるウケ狙いだったのか、それとも本気だったのか。

 ノブワイルドはこれで通算12勝。そのうち7勝を7〜9月に挙げており、あとの5勝は3月か4月。勝ち星は、春か夏か秋口まで。一方、JBCの時期を挟んだ10〜12月の成績を見ると、8戦して2着が1回あるだけで、あとは4着以下。「夏がいい」というのは成績にはっきりと出ている。JBCは11月4日、地球温暖化による異常気象を期待しよう。

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