夏以降に2勝クラスを勝ち上がった馬が制することも少なくないのが
菊花賞。2004年
デルタブルース、09年
スリーロールスは、その勢いで
菊花賞直行Vを決めたし、08年
オウケンブルースリ、10年
ビッグウィークは、2勝クラスを勝った後に
トライアルで権利を獲得し、本番で美酒に酔った。つまり、
菊花賞は夏の2勝クラス勝ち上がり組の“取り扱い”が非常に重要になるということだ。
ただ、今年はちょっとした“異変”が起きている。「今年は例年以上に3歳馬が2勝クラスを勝ってるでしょ。今のままだと、ひょっとしたら
菊花賞に出走できないんじゃないかと思ってしまうんですよね」とは
神戸新聞杯に2勝クラス=
京橋特別の勝ち馬
シフルマンを出走させる中川助手。
ちなみに近10年の6〜8月期における芝2000メートル以上の2勝クラスでの3歳馬の勝ち鞍は4→2→3→3→5→2→6→4→6→8。昨年と比べるとズバぬけてというほどではないが、それでも今年は最多Vをマークしている。もちろん、その理由は明快だ。
「やっぱり降級制度がなくなったのは大きいよ。強い4歳馬がいなくなったわけだから。ウチの馬なんか、
神戸新聞杯で権利を取らないと、まず
菊花賞出走は無理だろうね」と話すのは
ワールドプレミアの大西助手。年によっては1勝クラスを勝っただけでも出走できる
菊花賞だが、今年に限っては非常に厳しい?
もちろん、前述の
シフルマンとて2勝クラス勝ちの実績だけでは安心できない。すなわち、今週が勝負駆けになる。
「前走が内から抜け出す、らしからぬ競馬。大いに収穫がありました。松山もレース後に“
神戸新聞杯に使ってくれないですかね”みたいなことを言ってたし、以前に乗った
吉田隼人も“
菊花賞に行ければ”って。それだけ乗っていて期待をかけられる馬なのかな、と。相手は強くなりますが、前走で負かした
ハイヒールもその直後に(2勝クラスを)勝って、
小倉日経オープンでも3着と見せ場をつくってましたからね。ウチのもなんとか先が楽しみになるようなレースになれば」(中川助手)
サートゥルナーリア、
ヴェロックスの2強がデンと構えているため頭数的には寂しい
神戸新聞杯だが、“第3のイス”を巡る戦いは意外にシ烈なものになりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ