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成長途上で古馬を一蹴、クリソベリル/日本テレビ盃回顧(斎藤修)

  • 2019年09月24日(火) 18時00分
 除外になった笠松の3頭は馬運車の故障とのこと。除外理由が「事故」となっていて、たしかに広い意味では事故だが、交通事故とかではなく、ひとまず馬は無事だったようでよかった。

 8頭立てとなったが、実績的に勝負になるのは中央4頭と大井に移籍したノンコノユメの5頭。そのうち3頭にGI/JpnIタイトルがあり、ロンドンタウンにも韓国ローカルGIの2連覇がある。といえば聞こえはいいが、3歳のクリソベリル以外のGI/JpnI勝ち馬はいずれもピークを過ぎたかという馬たち。

 クリソベリルにとっては初めての古馬との対戦だが、勝つかどうかではなく、どんな勝ち方をするかというのが興味のほとんどで、それは思った以上に楽なものだった。というのも、相手候補の有力馬でまともに力を発揮したのは2着ロンドンタウン、3着ノンコノユメの2頭だけ。3コーナーからずるずる後退して6着だったヒラボクラターシュは、福永騎手によると呼吸器系のトラブルということらしい。歩くように最下位でゴールしたアポロケンタッキーは、戸崎騎手が下馬することなく検量室前まで戻ってきたので、おそらく脚元の故障ではなく体調的な問題だったのだろう。

 これといった逃げ馬がいないメンバーで、ロンドンタウンの岩田騎手は逃げてどこまで粘れるかという作戦。軽く気合を入れて先頭に立つと、すぐにペースが落ち着いた。1000m通過が62秒7というゆったりしたペースで、3コーナー手前から徐々にペースアップ。やや離れた4番手からクリソベリルが差を詰めるのはあっという間。直線で並びかけると、一瞬のうちに突き放して4馬身差をつけた。

 さらに4馬身離れての3着にノンコノユメ。大井移籍初戦の帝王賞では際どい3着で復調を思わせたが、今回は「思うような調教ができていない」という荒山調教師のコメントが出ていた。そもそもゆったりした流れになってはこの馬の出番はない。それでもかつてのようにゲート入りでテンションが上がって出遅れという様子は、大井移籍後には見られなくなり、今回もすんなりと互角のスタートを切っていた。万全の状態で臨めれば、ダートグレードでもまだまだ見せ場はありそうだ。

 さて、勝ったクリソベリルだが、ここまで5連勝はいずれも楽勝といえる内容。スタート後は好位から中団に控え、ライバルと見定めた馬をとらえるだけというレースぶりはひじょうに大人びて見える。しかし川田騎手によると、「成長がともなっていない」のだという。この後は一旦放牧に出し、次走予定のチャンピオンズCで、いよいよダート一線級との対戦となる。

 厳しい競馬を経験していない状況で、国内最高レベルの舞台で、果たしてどうか。昨年のルヴァンスレーヴにしても、チャンピオン級のゴールドドリーム南部杯で対戦というステップを踏んでのチャンピオンズCだった。クリソベリルはここで古馬との対戦を経験したとはいえ、やや軽い相手だったうえに、前述の通り有力中央勢のうち2頭は能力を発揮していないという楽なレースだった。

 ただ今年、中央の春のクラシックでは、桜花賞グランアレグリアが、皐月賞サートゥルナーリアが、ともに前哨戦は使わず3歳初戦で制するという、これまでの常識にはかからないパターンでの快挙があった。実戦での経験はなくとも、充実した調教施設で仕上げればそれだけ高いレベルにもっていけるという時代の変化なのだろう。言うまでもなく、クリソベリルもその2頭と同じノーザンファーム系。再び2カ月以上の間隔を空けての大舞台で、いよいよ川田騎手が言う“成長がともなった”クリソベリルの姿が見られるのかもしれない。

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