21〜23日の3連休は、まさに“音無祭り”とも言うべき華やかな3日間だった。
土曜の阪神メイン・
大阪スポーツ杯を
ビックリシタナモーで勝ったかと思えば、日曜は中山のGII
オールカマーを
スティッフェリオで勝利。これだけでも十分にすごいのだが、
JRA開催のなかった月曜こそが3連休のメインディッシュであり、その大役を担って登場した
クリソベリルがきっちりと船橋の交流GII
日本テレビ盃を圧勝した。
しかも、横綱相撲でねじ伏せた
クリソベリルはともかく、
ビックリシタナモーは「末脚一辺倒の馬なのでハマり待ち」(音無調教師)ながら、戦前に期待した通りの展開に。また、
オールカマーにしても「下手に控えるくらいなら逃げたほうがいい。実際、丸山はこの馬で逃げ切りを決めたことがあるし、4角先頭ならチャンスがある」と、まさにトレーナーのもくろみ通りのレースぶり。理想が現実にならないことのほうが多い競馬の世界で、何もかもが思った通りに進むとは、それこそ“神降臨”と表現すべきレベルではなかっただろうか。
よく耳にする「ツイてるヤツに乗れ」の格言は、ツイてる瞬間に乗るからこそ意味があるのであって、もしかしたら“ツイていたヤツ”になってしまうかもしれない今週末は、その効力を発揮しないかもしれない。
しかし、そこは単純な運のみで勝ちまくっているわけではない音無キュウ舎。前述の重賞2勝で今年の重賞勝利数(地方交流を含む)を「9」とした地力が根源にはある。
今週末もキュウ舎の勢いは止まらないだろうし、GI
スプリンターズSの
モズスーパーフレアはそれこそ止まってもらっては困る馬。とにかく行って粘り込むのみ。勝つか負けるかの前に“行き切ること”が何より重要なのだ。
3番手に控えた前走の
北九州記念。ハンデも影響したのか、ゴール前のひと伸びこそ利かなかったものの、勝った
ダイメイプリンセスから0秒3差の4着に粘ったレース内容は、一見すると“味な競馬”をしたように思える。しかし、翌週の指揮官はなかなかのご立腹ぶりだった。
「いい競馬をするだけならあれでもいいけど、勝とうと思って出走させているわけだから、あの形では納得できない。直線の切れ味勝負で分が悪いのはわかっているだろうに」と、前半3ハロン32秒7のハイペースを考慮し、好位に引いた競馬をした弟子(松若)を痛烈に批判。その考え方は今回の一戦でも変わらない。
「6勝のうちの5勝が逃げ切りで、3つが今回と同じ中山だったんだけど、そのうち2回が前半3ハロンを32秒台でぶっ飛ばしていて、残りの1回も33秒2。ムチャなペースでもいいんだよ。むしろ、中山で2着に負けた一戦(昨年のラピスラズリS)は34秒0。脚をためた逃げは後続のいい目標になるだけなんだ。自分の形で競馬をしての敗戦なら文句は言わない。今回は競り込まれても負けずに行ってほしい」
ちなみに過去10年で4角先頭の馬は<2314>。1番人気がゼロ、勝った2頭もそれぞれ6、10番人気だったことを考えれば、「とにかく行くだけ作戦」はあながち間違いじゃない? もちろん、高速決着が続く中山芝での
タイムアタックは
モズスーパーフレアにとって絶好だ。というわけで、今週も音無キュウ舎の逃げ切り勝ちに乗ってみる所存である。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ