記者が関東圏を対象にした今年の2歳戦で最初に取り上げたのが6月2日に東京競馬場で行われた芝1600メートル新馬戦。当時の主役は1番人気に推された
レイデオロの半弟
アブソルティスモだったが、結果は2番人気
サリオスに2馬身差をつけられる完敗だった。もっとも
サリオスとて、早くから注目を集めていた好素材。この結果はあくまで想定内(決して言い訳ではなく)にしても、両馬の再戦がこんなに早く実現しようとは…。これはまさに想定外だ。
冒頭の新馬戦が8頭立てなら、GIII
サウジアラビアRC(5日=東京芝1600メートル)は登録段階で9頭。再び少頭数の競馬が予想されるとはいえ、今度は新馬戦ではなく勝利経験のある馬たちによる戦い。それでも「一騎打ちムード」が早くも漂うのは両馬の卓越した素質がそうさせるのか。
実は2頭が戦った新馬戦は、昨年1着
グランアレグリア、2着
ダノンファンタジーで決まったあの出世レースだ。この2頭はその後、牝馬クラシック路線をけん引。今年は牡馬2頭がクラシック路線を…なんてこともあるのではなかろうか。
というわけで、注目の牡馬2頭。まずは勝者に敬意を払って
サリオスの近況から。レース後は北海道への放牧でたっぷり充電された。帰厩の際、中継地として寄ったノーザンファーム天栄で軽い熱発があり、1日余計にとどまったそうだが、美浦に入ってからは至極順調な調整過程。先月26日の南ウッドでの1週前追いは3頭併せの真ん中で年長馬2頭を子供扱いする圧巻の動きだった(5ハロン69.4-11.9秒)。
「入厩当初はかなり増えていましたが、24日の計量で548キロ。徐々に絞れて体つきが良くなってきたし、動きも相変わらずいいですね」と切り出した森助手は、「後ろからの競馬になるイメージでしたが、スタートや位置取り、そしてしまいの伸び…すべてが思っていた以上のいい内容でした」と初戦を振り返る。
早い時期に新馬戦を勝ち上がったメリットを「やはり秋以降のローテーションが楽になる。この馬自身の成長、状態、テンションを見ながら、出走レースを選べるのはプラスだと思いますね」とした森助手。今回は4か月の休み明けとなるが、それは時間的余裕とするべきなのか。
一方、初戦で
サリオスの後塵を拝した
アブソルティスモは8月4日の札幌芝1500メートル未勝利戦を勝ち上がってリベンジの場に駒を進めてきた。1戦余計に“回り道をした”形にもなるが…。
「6月にデビューして、間を空け過ぎず、2か月間隔でレースに使えるのは仕上げる意味では楽。もちろん勝つのはいいことなんだけど、ローテ的には勝った後のほうが大変な面もある」と津曲助手。早期デビューの良しあしに関して、図らずも微妙に違った声が出たのは興味深い一幕だった。
「前走は4角で他馬に前をカットされて馬が気を使ってしまうシーンもあったけど…。エンジンがかかってからはいい伸びを見せた。初戦は勝った馬も強かったが、逃げる形で目標にされたのもあったからね。違う競馬で結果が出せたのはむしろ良かった」と津曲助手は経験をより積めたことをプラスに感じている。
果たして
アブソルティスモVS
サリオスの第2ラウンドの結果はいかに!?
来年の牡馬クラシック路線を占う意味でも注目だ。
(立川敬太)
東京スポーツ