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完璧なペースで逃げ切ったコパノキッキング/東京盃回顧(斎藤修)

  • 2019年10月03日(木) 18時00分
 実績より期待のほうが大きくなりつつあったコパノキッキングが痛快な逃げ切りを見せた。近年の大井で1200m=1分10秒7(良)という勝ちタイムも速い。3、4年ほど前から大井コースはそれまでより時計がかかるようになり、2016年以降、大井で行われている1200mのダートグレードでは、1分11秒4が最速(2016年東京スプリントコーリンベリー、2017年JBCスプリントニシケンモノノフ)。1分11秒台後半が標準的な勝ちタイムだったから、1秒程度速かったことになる。

 カペラSでの4コーナーほとんど最後方からの直線一気や、前々走東京スプリントの不良馬場での追い込みから、直線末脚勝負という印象が強くなっていたコパノキッキングだが、それは気性的なことでのスタートのまずさからそいうレースをせざるをえなかったというだけ。実際にデビューしてしばらくは逃げていた。この日もパドックではかなりテンションが高かったが、それがいいほうに向いてくれば今回のように安心して見ていられるレースができるのだろう。その成長分で、他馬とは圧倒的な力の違いを見せた。

 前述のとおり勝ちタイムは1分10秒7で、前半3F=34秒3、後半3F=36秒4。前後半の差が約2秒というのは、大井1200mの逃げ馬としては完璧なラップ。前半はやや厳しいペースで後続勢にも脚を使わせ、後半36秒台前半で上がれば、それを差し切るというのはかなり難しい。

 直線を向いても藤田菜七子騎手の手応えは楽なまま。残り300m過ぎで手前を替えて追い出され、サクセスエナジーとの差を広げたあたりで勝利は確定的なものとなった。上がり最速だったのは、4馬身差で2着に入ったブルドッグボスの36秒2。それも4コーナーまでは中団を追走して、前半は楽をしてのものだった。

 JpnIIの東京盃は、JBCスプリントが大井か盛岡の1200mでない年は、ダート1200mでは国内で最高格付となっている。それゆえ例年ダート短距離のスペシャリストが集まるが、今年のJRA勢は重賞未勝利馬でも出走できるなど、コパノキッキング以外のメンバーは低調だった。それはそのまま結果に現れ、ダートグレード3勝のサクセスエナジーはなんとか3着に踏ん張ったが、それ以外の掲示板は南関東所属馬。2着のブルドッグボスは2年前ではあるもののクラスターCを勝ち、その年のJBCスプリントでも3着。4着のショコラブランは今年の東京スプリントでコンマ2秒差の4着。5着のキャンドルグラスは昨年も5着で、前走アフター5スター賞ではキタサンミカヅキにクビ差の2着。それぞれダートグレードでそれなりの実績があった。

 一方、単勝一桁台で2、3番人気となったのは、佐賀・サマーチャンピオン2着のヒザクリゲと、同1着のグランドボヌールだったが、ヒザクリゲはスタートで出負けして後方からとなって8着、グランドボヌールは中団追走のまま10着と、ともに見せ場をつくれなかった。ヒザクリゲはダート短距離で3勝クラスまで3連勝だったとはいえ、サマーチャンピオンが初めての地方で、重賞も初挑戦。グランドボヌールサマーチャンピオンが未勝利戦以来のダート戦。ということを考えると、掲示板内に入着した地方馬と比較して経験も少なく未知数な部分も多かった。

 さてコパノキッキングは、JBCスプリントへ、となるのだろうか。スプリントに限らず、今年はJBCの舞台が小回りの浦和ということで、早々と回避を表明する有力馬陣営も少なくない。追い込み一辺倒のコパノキッキングであれば直線の短い浦和では無理だが、今回のようにスタートが安定して決められるのであれば無理な話ではない。そもそも無謀と思われたフェブラリーSで5着に好走したときも、「1600mに対応できるように馬を作り変えた」ということだった。次も、コーナー4つの小回りコースに対応できるように調教で馬を作り変える、ということはあるかもしれない。

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