JRAから3日、突然の発表があった。端的に説明すると、日曜(13日)の東京競馬において3歳上1勝クラスの番組を削り、ダート1400メートルの新馬戦を新設するというもの。「2歳新馬競走において出走予定馬が多く見込まれるため」がその理由だ。
ここ最近の東日本エリアにおけるダート新馬戦の除外馬数を見てみると、中山最終週の1200メートル=30頭、東京開幕週の1600メートル=9頭、新潟開幕週の1200メートル=17頭と、確かにかなり多い。秋から冬にかけて徐々に番組は増えていくとはいえ、夏からこの時期までダートの新馬戦が芝と比べてかなり少ないことが大きく影響しているのは言うまでもない。
「除外で使いたい番組に使えなかった」
「権利取りのつもりが(出走枠に)入ってしまった」
このような事態になると、よく聞かれる声だ。これでは若駒たちの飛躍の芽を摘み取ることにもなりかねない。
そもそも、ダート路線の不備は数年前から何度も繰り返されてきたこと。地方交流戦を含めた“頂点”の整備は進んでいるのだから、その第一歩になる新馬戦、そして下級条件のさらなる改善は急務だろう。
そんな状況で行われる2歳1勝クラスの
プラタナス賞(12日=東京ダ1600メートル)で、ダート路線においては、とりわけ貴重な2勝目を狙いにきたのが
イモータルスモーク(牡・金成)だ。新馬戦快勝後にすぐさま
M.デムーロの継続騎乗を確保した上で、ここに照準を合わせてきた。
「年末に向けて徐々に(2歳ダート戦の)メンバーは濃くなっていくからね。それこそ暮れの川崎(
全日本2歳優駿)を目指して2勝目を挙げようとするのなら、(早い時期の)このレースはいいんじゃないかな」と金成調教師。
2歳ダートの番組自体が少ない現状を逆手に取り、中距離路線の素質馬が出揃っていない時期を狙うのは理にかなった戦略なのかもしれない。
初戦は3馬身差圧勝とはいえ、時計は平凡で、相手関係に恵まれたとの見方もあるが…。「まだ競馬を分かっていない」と
M.デムーロがレース後、苦笑いしたように、ただ“回ってきただけ”。決してポテンシャル全開の走りだったわけではない。
「練習ではゲートはそれほど速くなかったから、まさかあんな(逃げる)競馬になるとはね。控えることもできそうだし、東京マイルに替わったら、また違った競馬になるんじゃないかな。上のクラスまで行かせたいと思っている馬なんだ」
師の狙い通り、2勝目をゲットして飛躍への基礎固めになるか注目だ。
(山口心平)
東京スポーツ