2歳戦の結果は、厩舎の近い将来にも大きく関わってくる。2歳馬が翌年にはクラシックを狙う3歳馬になり、翌々年には厩舎を支える古馬となるのだからそれも当然。で、今年これまでの2歳戦で全国トップの成績を挙げているのはどの厩舎なのかというと、これが実は西村厩舎なのだ。
厳密に言えば、関東の手塚厩舎とタイの10勝なのだが、手塚厩舎(26馬房)に比べて、西村厩舎(20馬房)は6つも馬房が少ないのだから実質トップとしていいのでは。
昨年の同時期が3勝だったとなると、まさに大いなる飛躍。調教、戦略…果たして何が変わったのか? 気になって厩舎に行き、スタッフにいろいろ聞いて回ったのだが、返ってきた答えはほぼ同じで、まず「自分たちがやっていることに特に変わりはありません」。そして、もうひとつの答えが「調教師がそれだけいい馬を揃えてくれたってことでしょう」。
昔から調教師の一番の仕事は「いかにいい馬を厩舎に持ってこれるか」と話す関係者は多いのだが、西村調教師は今年、それを見事に実践したということなのだろう。
「ウチの先生はいい馬を連れてくることに対する執念が東西の調教師全員を合わせてもトップクラスだと思います。とにかく意欲がすごいですから」(余田助手)
2歳戦で快進撃を続ける西村厩舎がGII
京王杯2歳S(11月2日=東京芝1400メートル)に送り込むのが
タイセイビジョン。以前トレーナーから「今後がかなり楽しみな馬」と聞いていた好素材である。
「
函館2歳S(2着)の後に休ませたことで馬体が大きく成長してますね。調教ではあえてビシビシ時計を出してはいませんが、本当に順調ですよ。前走を見ると少し1200メートルは忙しかった。それでも最後の脚は目立ってましたから。東京の1400メートルなら競馬はしやすいと思いますし、期待できそうです」(担当の菊本助手)
快進撃が続く西村厩舎の2歳軍団に、新たに重賞Vの勲章も加わることになりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ