日によっては、この時季らしい気温といった感じだが、13日の調教開始前は6℃と非常に冷え込んだ。しかし調教開始前に雨が降った14日はさほど寒くなく、気温の変化が激しく、体調管理が難しい日が続いている。
ちなみに14日は調教時間中に雨が降ることもあったが、量としてはさほど多くない。よって、馬場に与える影響もさほどなかったと思われる。
【坂路/4F51.9秒】
11月13日。一番時計は
ライトオンキュー(栗東・
昆貢厩舎)の4F50.0秒。先週までなら、テンから飛ばしていくと、4F目は13秒台までラップが落ち込むケースが目立っていた。しかし今週はテンから飛ばしても4F目が12秒台で踏ん張っている。このあたりが先週に比べると速い全体時計が出ている要因と考えられる。
逆にテンをゆったり入って、後半で速いラップを踏むケースも目立っている。2F24秒切りが4頭もいるが、その中で最も速い23.8秒が
グァンチャーレ(栗東・
北出成人厩舎)。体重の軽い
亀田温心騎手が跨っていたとはいえ、余力の残った状態でこの時計。休み明けの前走をひと叩きして、確実に状態は上がっている。
14日。一番時計は4F50.5秒の
アスタースウィング(栗東・
中竹和也厩舎)。やはり速い時計が出ているが、この馬のラストも目一杯というよりは少し余力があった。非常に走りやすい馬場状態だからこそ、時計が出ているという部分はあるだろう。
先週の馬場差は「-0.1秒」。ウッドチップの入れ替え工事が終わって、1ヶ月以上になるが、一気に時計が出る馬場になってきた感じ。それは全体的な時計の出方を見て感じるところなので、今週の馬場差は13日、14日とも『-0.4秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
11月13日。先々週に比べると、先週は時計を要する状態だったが、今週もその傾向は同じ。とはいっても、基準時計との比較だとまだ少し速いので、重たい馬場というわけではない。ただ、この馬場だと全体も終いも速いという追い切りなら、馬の調子が良いと判断しやすい。
その典型例といってよいのが、1回目のハローを終えた時間帯に追い切った
ミヤマザクラ(栗東・
藤原英昭厩舎)。
京都2歳S(11月23日・京都芝2000m)を
O.マーフィー騎手で予定しているが、その1週前追い切りを併せ馬で行っている。
コーカスを追走する内容だったが、道中の速めのラップにもきっちり対応し、ゴールへ向かって加速し続けている。先週の追い切りでもそうだったが、この血統にしてはスピード感が満載。その分だけ機敏に動けているという印象。時計も6F80.2〜5F65.6〜4F51.5〜3F37.3〜1F12.0秒と速く、休み明けでも全く問題なく動けそう。
11月14日。調教時間中にも雨が降ったが、その影響は特に感じられなかった。よって、馬場状態としては前日と変わりない。
この日、
ジャパンカップ(11月24日・東京芝2400m)に向けた1週前追い切りを行ったのが、
ユーキャンスマイル(栗東・
友道康夫厩舎)。
アドマイヤマーズが先導して、
ジュンライトボルトが真ん中、それらを最後方から追いかけるという流れ。
向正面から少し速めのラップだったが、3コーナーから4コーナーで馬群が凝縮して、最後の直線では先頭から4馬身くらいのところまで詰めてきていた。最内からどこまで迫るかというところだったが、相手2頭も動く馬だけに、なかなか差は詰まらない。結局、最後は遅れてしまったが、時計は6F79.7〜5F64.6〜4F50.6〜3F37.9〜1F12.8秒とかなり速く、しっかり負荷をかけられた内容になった。
先週の馬場差は「-0.3秒」。雨はあったものの、馬場状態は先週とあまり変わっていない。よって、今週の馬場差も『-0.3秒』で13日、14日とも記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
このところ、追い切り頭数は少なめの芝馬場。馬場状態としては、時計を要していた状態から少しずつ回復している印象を受ける。今週の馬場差は13日、14日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場での追い切り頭数は、水曜日と木曜日で40頭前後とかなり安定してきた。今週は少し時計の出やすい馬場状態だったので、馬場造園課の方にそのあたりの理由を聞いたところ、馬場に含まれるオイルの関係で、気温が低いと少し硬めになるとのこと。
つまり、気温の低い調教開始直後は時計が速く、気温が上昇する調教終了直後は時計が遅くなるということ。ただ、馬場差としては、先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)