向正面2コーナーのポケットからスタートする京都芝・外回りの1600mコースは、そのまま700mあまりの直線を走るタフなコース。このコースで行われるGIは、なかなかペースが緩みません。向正面の半ばから11秒6前後のラップを刻み続け、そのまま直線でも11秒6を刻み続けた馬がゴール前で先頭付近にいると考えて良いレースでしょう。
しかし、ただ単に11秒6を刻み続けただけでは勝ち負けにならないのが、
マイルCSがGIであるゆえん。そこからさらに底力が要求され、ゴール前でもうひと伸びできることが秋のマイル王へ条件であり、それを可視化する方法が、ラップタイムには存在します。
それが“ラスト1ハロン加速実績ラップ”です。走破タイムは関係なく、「11.9-11.6-11.5」、「12.5-12.7-12.6」などのように、最後の1ハロンで加速するレースラップで、1987年以降、過去32年の
マイルCS勝ち馬のうち28頭は、該当年の
マイルCS出走以前に“ラスト1ハロン加速実績ラップ”での勝ち鞍、もしくは重賞で4着以内の好走実績を持っていました。
ラスト1ハロン加速実績がなかったのは、2005年に3番人気で勝利した
ハットトリックや2009年に1番人気で勝った
カンパニー、翌年に13番人気で勝った
エーシンフォワード、2016年の勝者
ミッキーアイル(3番人気)ぐらいなものです。
そもそも“ラスト1ハロン加速ラップ”というのはかなり珍しいもので、全体の0.5%程度しか存在しません。そうしたなかで、1990年に10番人気で勝利した
パッシングショットや2000年に勝った
アグネスデジタル(13番人気)、2002年の勝ち馬
トウカイポイント(11番人気)、2014年の覇者
ダノンシャーク(8番人気)といった人気薄での勝ち馬も、この条件をクリアしていたという点は特筆すべきでしょう。
そうした事実を踏まえて、今年の
マイルCSに登録している馬の“ラスト1ハロン加速実績ラップ”を見てみると、勝ち鞍、もしくは重賞5着以内の実績を持っている馬は
アルアイン、
インディチャンプ、
ダノンキングリー、
ペルシアンナイト、
モズアスコット、
レイエンダとわずか6頭にすぎません。
注目すべきは、
天皇賞・秋2着で人気が確実視される
ダノンプレミアムが入っていない点です。3走前の
マイラーズCではラスト1ハロン11秒1の脚を見せた同馬ですが、それでもラスト3ハロンラップは「10.9-10.3-11.1」。最後に加速してはいないのです。
(文=岡村信将)
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