今年の
ジャパンカップは外国からの参戦馬0頭という異例の事態。かつてのJCダート(現
チャンピオンズC)同様、今年で39回目を迎える伝統の一戦もすでに国際競走の体を失った感は強い。ただ、それ以上に違和感を覚えるのは主役と呼べる馬が見たらない点か。
今年の古馬戦線のGI優勝馬が不在のうえ、フレッシュな3歳牡馬も不参戦。
有馬記念と並ぶ最高賞金3億円の舞台も、国内最高峰たる地位が怪しくなってきた。
付け加えれば、ノーザンファーム生産馬が登録16頭中の12頭、そのうち友道厩舎所属馬は5頭、金子真人オーナー所有馬が4頭…。すっかり多様性を失った日本競馬の現状を今年のJCは象徴するかのようだ。
とはいえ、馬券的には難解かつ、極めて興味深い一戦となろう。突き詰めれば実績を買うか勢いを買うか、そこに焦点は絞られる。当方がひそかに狙うのは、鮮度に欠けるこの一戦に唯一の彩りを与える紅一点。非ノーザンの3歳牝馬
カレンブーケドールである。
「しっかり食べたものが実になっているんだろうね。前走に比べて体が10キロくらい増えて、ブリッとした迫力のある体になってきた。
秋華賞(2着)の後に、さらに馬が成長しているのは間違いないよ」こう語るのは
国枝栄厩舎の番頭格・鈴木勝美助手。
確かに馬体は470キロ台とは思えぬほど張りがあり、まだきゃしゃな印象を残した春当時とは見違えた感がある。秋口は爪に不安を残し満足に追い切れなかったが、ようやくビッシリと攻められるようになったこと自体、本格化の証しと言えよう。そして当方をさらに“その気”にさせるのが、
カツミ助手が放つこのひと言である。
「今の勢いを見ていると思い出すのが、大混戦ムードだった09年の
天皇賞・春を12番人気で勝った
マイネルキッツだよね。あの馬もそれまで重賞勝ちさえなかったのに、
日経賞2着の後にグングンと良くなって一気にGI馬に上り詰めちゃったから。
この馬も切れ味ではかなわないかもしれないけど、とにかく併せてからの根性がいい。今年のメンバーならアッと言わせてくれないかな」
オークスの走破時計2分22秒8は5ハロン通過が1秒3速かった
日本ダービーの勝ち時計とわずか0秒2差。そこに53キロの斤量を加味すれば、かなりいい勝負ができると踏んでいる。果たして“鎖国JC”の結末は?
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ