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成長を見せての逃げ切りクレイジーアクセル/クイーン賞回顧(斎藤修)

  • 2019年12月12日(木) 18時00分
 クレイジーアクセルには、さまざまな幸運にも恵まれてのダートグレード初制覇となった。

 まずは枠順。戦前、渡邉和雄調教師は「同型のラインカリーナより内枠がほしい」と話していたが、そのとおり、クレイジーアクセルラインカリーナより内に入ったというだけでなく、1番枠と7番枠という逃げ馬としては明らかに有利な枠順。そして52kgというハンデにも恵まれた。ダートグレードを複数勝っているプリンシアコメータアンデスクイーンの56kgに対して52kgは実績的に適正と思われるが、10月のレディスプレリュードでは、勝ったアンデスクイーンと同じ55kgで、直線半ばまで食い下がって4着という内容を考えると、今回の4kg差はかなり楽になった。

 さらに願ってもない幸運となったのが、直前の雨。この日の関東地方はあまり雨が降るような予報ではなかったが、メインレースの2〜3時間ほど前に局地的な通り雨があっての稍重。結果的に先行した4頭で、2番手のラインカリーナ、3番手のプリンシアコメータが入れ替わっただけ。行ったままの決着は、馬場状態の影響もあったかもしれない。

 クレイジーアクセルは互角のスタートから鞍上が軽く促しただけで難なく先頭に立った。ラインカリーナも好ダッシュを見せたが、クレイジーアクセルの二の脚の速さと枠順を考えると無理に競りかけるわけにもいかず2番手に収まった。さらに外からプリンシアコメータもピタリと3番手につけた。

 クレイジーアクセルの吉原騎手は、後続が来れば来ただけ自分も行って、1馬身よりは差を詰めさせない態勢での逃げ。3F目から続いた12秒台のラップは、相手に息を入れさせず、なし崩し的に脚を使わせる、逃げ馬としては絶妙のペースだった。そして4コーナー手前、ライバルに並び掛けられる前に一気に仕掛けて勝負を決めた。

 最後は2着のプリンシアコメータに2馬身半差をつけたが、楽な逃げ切りだったわけではない。最後の2Fは、13秒2、14秒2と、クレイジーアクセル自身も一杯だった。ただ道中で脚を使わせたぶん、最後は脚色が一緒になってそれ以上差を詰められることはなかった。

 ちなみにこのレース、一昨年のプリンシアコメータから、昨年のアイアンテーラー、そして今年と3年連続での逃げ切り。不良馬場だった昨年のアイアンテーラーも3F目からきっちり12秒台のラップを刻み、最後は13秒4、14秒2という上りで逃げ切っており、ペース配分としては昨年とほとんど同じ質のレース展開だった。

 他の有力馬にすれば、まんまと逃げ馬の術中にハマってしまったわけだが、斤量、枠順、湿った馬場という条件を揃えられ、それを負かしに行けば共倒れとなってしまう可能性が高い。2、3番手で追走したラインカリーナプリンシアコメータには難しいレースだったに違いない。

 冒頭“さまざまな幸運にも恵まれて…”と書いたが、決してフロック的な逃げ切りだったわけではない。3歳春には牡馬相手の東京湾Cを逃げ切り、関東オークスは3着だったが、1400m以下で実績を残してきたメイショウヒサカタに執拗にからまれる厳しい展開だった。今年初頭は、TCK女王杯5着、エンプレス杯11着と結果を残せなかったが、夏以降は目標と定めたグランダム・ジャパン古馬シーズンで見事に優勝して見せた

 そのグランダム・ジャパン古馬シーズンの最終戦、レディスプレリュードでの4着は、むしろ成長の証でもあった。2歳から3歳の若い時期は、右回りでも左回りでもコーナーで外に膨れてしまうところがあり、勝つときは強いが、うまく折り合えないと直線早々と失速という難しいタイプだった。それが4歳の秋になり、「道中でハミが抜けるようになって、最後まで粘りがきくようになった」(吉原騎手)とのこと。

 今年、地方の古馬牝馬で他にダートグレードを勝っているのは4月のマリーンCを制したラーゴブルー(川崎)だけ。クレイジーアクセルは、グランダム・ジャパンのタイトルも併せ、NARグランプリ・4歳以上最優秀牝馬のタイトルはほぼ確実といえそうだ。

 プリンシアコメータは、なんとも難しい。ダートグレードを使われるようになった2017年11月のJBCレディスクラシック以降、2018年のTCK女王盃での6着以外、1着・2着か二桁着順かという極端な成績。4番手以下からの追走ではそこから盛り返すことはまず難しく、とはいえ逃げ・先行では同型との兼ね合いが難しい。それゆえダートグレードではこれで2着が5回(ブリリアントSも含めると6回)。

 ラインカリーナは、前走太秦Sがそうだったように、牡馬の一線級相手でも崩れることがなく、このまま成長すれば来年以降もダートグレードのタイトルが期待できそう。

 牝馬同士ならと1番人気に期待されたアンデスクイーンは、なんとか5着を確保したまで。中団よりうしろからの追走はいつものことだが、向正面から追い通しで行きっぷりが悪く、縦長の展開で位置取りも悪すぎた。前半行けなかったぶん、最後は39秒台の脚を使って前との差を詰めたが、見せ場をつくるまでには至らなかった。今年4月以降はほぼ1カ月の間隔で使われ、前走JBCクラシックで大敗した反動もあったかもしれない。

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