今年、2歳戦で快進撃を続けている西村キュウ舎。10月の当コラムでも全国勝ち鞍トップと記したが、それは現在も継続中。手塚キュウ舎と14勝で並び、友道、木村、藤沢和、矢作、安田隆といった東西トップキュウ舎の猛追をずっとしのいでいるのだからすごい。
そんな豊富な2歳世代を抱える西村キュウ舎の中で大将格といえば、GII
京王杯2歳Sの勝ち馬で、GI
朝日杯FSでも2着に好走した
タイセイビジョンとなるが…。実はこの馬よりも、もっと走ったはずの“幻の馬”がいたのだという。
「
シリアスフールという馬はすごかったんですよ。無事だったら、
タイセイビジョンより走ったんじゃないかな。あの馬は長い距離もいけましたから。いい体をしていたし、稽古の乗り味も違いました。きっとクラシック路線に乗っていたと思います」とはスポークスマンの余田助手。
この
シリアスフールという馬は残念ながら、屈腱炎ですでに抹消となっており、その“全貌”はわからずじまいなのだが、ほかのキュウ舎スタッフからも「あれはいい馬だった」という声があるぐらいだから、その器は確かだったのだろう。
前置きが長くなったが、ここからが本題。そんな大物候補だった
シリアスフールが走った萩S(2着)は、見た目はそこまでインパクトのあるレースではなかったが、実はレベルが高いレースで、同馬を負かした
ヴェルトライゼンデの器も相当なのではないか?
早速、池江キュウ舎のスポークスマン・兼武助手を直撃したところ…。
「1つ上の兄、
ワールドプレミアが先週の
有馬記念で3着に頑張ってくれた。なかなか奥のある血統だよね。デビュー当初はモサッとしていたのがだんだんシュッとしてきたし、この馬もこれからどんどん良くなっていきそう」と手応えを隠さない。
最終週でタフな馬場になったときには「ここ2走で力のいる馬場にも対応しているから、ほかが苦にするようならウチには有利」と同助手。「ある程度ポンと出て、ポジションを取れそうだし、中山2000メートルの舞台も合いそう」とあれば…。
ヴェルトライゼンデが2019年最後の
JRA・GI
ホープフルSで器の大きさを見せつけてくれそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ