アーモンドアイが折り合いを欠いて9着惨敗。先週の
有馬記念は正直ショックな結末だったが、今にして思えば前兆もあった。馬が張り切り過ぎているのではないか。そう映ったのはルメールが騎乗した1週前追い切り。当該週の深いモヤにその疑念を置き去りにしてしまった当方も怠慢なら、馬の対応力を過信した陣営にも慢心はあったろう。この惨敗が今後の糧になればいいが…。
気を取り直して、今週の
ホープフルSに視点を移そう。GIに昇格して3年目。昨年
サートゥルナーリアをスターダムに押し上げた舞台に、今年は史上最高のメンバーが顔を揃えた。中でも主役はGIII
東スポ杯2歳Sを1分44秒5のレコードで圧勝した
コントレイル。ただ「内心、千八は微妙に長いかと思っていた」と矢作調教師がレース後に語ったように、本質はスピード型なのだろう。緩急に一抹の不安を抱える以上、先週同様に過信は禁物か。
代わる本命候補が関東にいる。まずはルメールが
有馬記念のリベンジに燃える無敗馬
ワーケアだ。今年は
ハーツクライの当たり年。当欄で何度も記したフレーズだが、
朝日杯FS優勝馬
サリオスに劣らぬスケールが、こちらにもある。
「まだ体は現状でユルユル。それだけに時計勝負では
コントレイルに勝てないだろう。ただ、この馬の強みは自在性。道中で力むことがない分、しまいが切れる。まだGI級とまでは言わないけど、重賞級なのは確か」
手塚貴久調教師が評価する通り、当方が注目するのも競走馬としての非凡なメンタル。担当の森信次郎キュウ務員は独特の言い回しで、秘める可能性に言及する。
「
アユサンや
マウレアは、馬体や走法から走るだろうという感覚だった。対して
ワーケアは違う部分に引かれるものがあるんだよ。それは何物にも動じない精神面の強さ。ちょっと違う…そう思わせるタイプだね」
奥深さを感じるのは
札幌2歳S覇者
ブラックホールも同様だ。美浦に帰キュウ当初は併せ馬で決まって遅れていた。担当の三尾一之助手も「函館滞在時もウッドチップでは全く動けなかったから」と、やむなしと受け止めていたが…。
「稽古駆けする
レノーアに食らいついた1週前は、乗った自分もビックリしました。追うごとに良くなっているし、走りも覚えてきた感じです」
こう言って目を輝かせたのは主戦の
石川裕紀人。「僕は負けて乗せ続けてもらえる騎手じゃないので」とつぶやいた、その本気度が怖い。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ