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人間と馬の福祉についての取り組み 引退競走馬と触れ合う乗馬体験会で子供たちも笑顔に

  • 2020年01月07日(火) 11時30分
 一般社団法人日本調教師会の関東本部(美浦トレーニングセンター内)にはウェルフェア専門委員会という組織がある。これは日本調教師会の関東本部が昨年立ち上げた人間と動物(馬)の両方の福祉について取り組む委員会だ。人間の福祉に関しては、例えば怪我をして調教助手や厩務員の仕事を辞めざるを得なくなった人の手助けをする。馬の福祉に関しては引退馬が幸せな余生を送れるよう、積極的な「引退馬支援活動」を行うというものだ。
ウェルフェア=1、幸福・繁栄 2、福祉事業・福祉援助

 馬について知ってもらうためのイベントなどを開催するのも、ウェルフェア専門委員会の活動の1つとなっている。昨年11月16日には廃校となった旧筑波小学校の校庭で、その地区の子供会に所属する子供たちが参加しての乗馬体験会が行われた。「昨今、騎手、厩務員、調教師になりたいという人が少なくなっています。その中で競馬関係の仕事に就く人を増やしていく活動の一環として、子供たちに馬に興味を持ってもらおうと、JRA美浦トレーニングセンターと共催の形で乗馬会を開催しました」とウェルフェア専門委員会の中心となっている鈴木伸尋調教師は説明する。

 乗馬会で子供たちと触れ合ったのは、1995年のラジオたんぱ賞優勝馬のプレストシンボリ(セン28)とホイホイフェリチタ(牝9)という2頭のサラブレッドだ。小柄なポニーではなくサラブレッドを使用したのも、競馬の世界に興味を持ってもらいたいという狙いの1つであったと思う。ちなみにホイホイフェリチタは、父ディープインパクト、母は2000年の桜花賞(GI)6着、オークス4着(GI)のレディミューズ、祖母に1993年のマイルCS(GI)を含め重賞6勝のシンコウラブリイという血統で、残念ながら競走馬として走ることはなかったが、今は乗馬として活躍をしている。

 乗馬会の最初に行われたJRA美浦トレーニングセンターの高松知之副場長による馬についての紙芝居の段階では緊張した面持ちだった子供たちだが、馬と触れ合ううちに徐々にほぐれてきたのか、笑顔が増えていった。見守る親たちに向けて馬上から誇らしげに手を振る子供たちの姿も印象に残った。馬に触れあったり馬上で揺られたりするだけで、子供たちの心が開かれていく。レースで疾走するサラブレッドは見る者を魅了するが、引退馬や競走馬になれなかった馬たちも人を笑顔にする力がある。競馬業界の人材不足対策だけではない。馬の魅力を伝えるために、引退競走馬の生きる道が増えるためにも、今後もこの乗馬体験会のようなイベントが頻繁に開催されることを願うものだ。

 ウェルフェア専門委員会の活動はまだ始まったばかりだが、人と馬の福祉、それに関連するイベント開催など、これからもその動きに注目したい。

(取材・文:佐々木祥恵)

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