2019年の
JRA賞が7日、発表され、
宝塚記念&
有馬記念の両
グランプリと豪
コックスプレートを制した
リスグラシューが「
年度代表馬」に輝いた。年末の段階で矢作調教師も「投票をチェックするからな」とジョークを飛ばす余裕があったほどなので驚きはないのだが、
年度代表馬の肩書を持って牧場に戻れる馬は極めて少ない。これ以上ない大団円の結末を受け、19日の引退式(京都競馬場)も大いに盛り上がるのでは? 多くのファンに著しく成長した彼女の姿を見てもらいたいものだ。
一方、最も難しい選択を迫られた「
最優秀3歳牡馬」の座は
皐月賞馬
サートゥルナーリアに。このコラムを熟読している稀有な読者ならば、
サートゥルナーリアに対する記者の“偏愛ぶり”はご存じかもしれないし、同馬への取材も他の追随を許さないほどにしてきた自負がある。大好きな彼の受賞を喜ぶ気持ちも多少はあるのだが、実は記者が持っている貴重な1票は
アドマイヤマーズに入れた。この部門だけでなく、結果的に
インディチャンプが獲得した「
最優秀短距離馬」も同馬に投票している。
投票は各記者の見解によるものであり、その意見を否定しているわけではないことを前提に話を進めれば、「127」のレーティングを有する
ビューティージェネレーションと
香港マイル路線の新エースとなりそうなワイククが出走し、その2頭がしっかりと上位を争ったうえで制した
香港マイルは、レース史上初の3歳馬による勝利(国際GIに昇格した2000年以降)という大偉業でもあった。
日本の3歳馬による海外GI勝利は05年
シーザリオのアメリカン
オークス以来2度目だが、同レースが3歳牝馬限定戦でレーティングも極めて低いGIであることを考えれば、同列に扱うことさえも悩むレベル。しかし、それほどの
エポックメーキングな結果を残しても評価されなかった。単純なGIタイトルの数でも最多タイ(3歳馬のGI2勝は
アドマイヤマーズと
クリソベリルのみ)。これで支持を得られないのであれば、この路線を歩む馬は、今後も表彰の対象にはならないということなのだろうか?
「マイルを走る3歳馬が
JRA賞を取ろうと思ったら、すべてのレースをぶっこ抜かないとダメということがわかりました」と陣営も苦笑いしていたが、本当にそんな気分。来年はドバイも香港も国内のマイル路線もぶっこ抜いてもらい、部門賞などとケチなことを言わず、
年度代表馬を争ってもらいたいものだ。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ