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外枠で能力を発揮したマドラスチェック/TCK女王盃回顧(斎藤修)

  • 2020年01月23日(木) 18時00分
 近年のダート牝馬路線はレースごとに勝ち馬が変わる混戦。そして今回、一部の有力馬には、枠順が明暗を分けた、そんな一戦だった。

 まず“暗”だったのは、前走クイーン賞を逃げ切っていたクレイジーアクセル。隣の内に大井移籍初戦のサルサディオーネが入り、懸念されていたとおり厳しい先行争いとなった。抜群のダッシュを見せたクレイジーアクセルだが、内のサルサディオーネも譲らなかった。ところが1、2コーナー中間ではクレイジーアクセルが先頭に立ち、サルサディオーネが外の2番手。内外が入れ替わっていたのにはちょっと驚いた。

 クレイジーアクセル吉原寛人騎手は、1コーナーに入ってしまうと主導権を握るのは難しいと考えたのだろう。パトロールビデオを見ると、1コーナーに入るギリギリのタイミングで、やや強引にハナを取り切った。サルサディオーネは顔を横に向けながら外に持ち出したのがわかる。

 隊列が決まってからは流れが落ち着いたように見え、スタートから12秒台のラップを刻んで1000m通過が61秒7。しかしそのペース以上に、クレイジーアクセルはハナを取り切るところで消耗してしまった。4コーナーまではサルサディオーネと2頭がレースを引っ張ったが、直線失速してともに着外。クレイジーアクセルにとっては、最内枠などさまざまに恵まれたクイーン賞とは対照的なレースになってしまった。

 一方で“明”は、もちろん勝ったマドラスチェック。前走レディスプレリュードでは内に閉じ込められて砂を被り、向正面からムチを入れても行きっぷりが悪かった。ところが今回は大外枠。前走で手綱をとっていた森泰斗騎手も当然それをわかっていて、先行争い2頭の直後の外目、砂をかぶらない位置の3番手につけた。直線を向いて先頭。追い出しを待つ余裕があった。

 そしてレディスプレリュードのときと同じように、中団から直線で脚を伸ばしてきたのがアンデスクイーン。浦和のJBCクラシック、船橋のクイーン賞では見せ場をつくれなかったが、昨年は門別のブリーダーズゴールドCレディスプレリュードを連勝したように、右回りの直線の長いコースで持ち味を発揮する。ただ今回は最後に苦しくなったのだろう、ゴール前ではマドラスチェックに接触するほど内にもたれていた。

 マドラスチェックは外枠が幸運となってさまざまに理想的にレースが進めることができ、わずかハナ差ではあるもののグレード初勝利。引き続き枠順と包まれたときの不安は残るが、明け4歳でこのレースぶりなら、ダート牝馬路線で主役を張れる可能性はある。

 3馬身差の3着にメモリーコウ。3コーナーから先行3頭を前に見る位置につけていたが、4コーナーを回るところでやや外に膨れ、直後にいたアンデスクイーンに進路を与えてしまった。先を越されたアンデスクイーンに食い下がってはいたが、直線半ばからはじわじわと差を広げられた。重賞初挑戦に加え、地方コースは3歳未勝利だった一昨年4月に笠松での経験だけ。明け5歳だが、今回が14戦目とまだあまり使われていないだけに、経験を積んでの可能性は期待できる。

 そして1番人気に支持されたファッショニスタは、見せ場をつくれずの4着。1頭だけもっとも重い別定57kgもあっただろう。アンデスクイーンにアタマ差の2着だったレディスプレリュードでは2番手から直線を向いて先頭に立ったが、今回は縦長の中団を追走。3コーナーから進出を開始したアンデスクイーンについていこうとしたが差を詰めることができず、直線では脚色が一緒になってしまった。1800mでも好走はあるが、能力を発揮するのは1600mまでではないか。

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