初東上が圧倒的人気を背負っての出走となりそうな
マイラプソディ。今週の
共同通信杯は負けられない一戦と周囲は考えるだろうし、実際に負けることもないと思ってはいるのだが、送り出す陣営にそこまでの気負いはなく、結果よりも過程と確認を重視する一戦と位置付けているほど。大江助手は「あくまで前哨戦。ボロが出たっていいんですよ。むしろ、弱点になる部分があるのなら、本番を前に把握できたほうがいい」とまで言っている。
もっとも、昨年の
共同通信杯に
アドマイヤマーズを送り込み、
ダノンキングリーの2着に完敗したときは「あれが本番でなくてよかった。下手に引きつけ過ぎてしまったら、ディープ産駒に決め手負けすることがハッキリしました」と前を向き。2017年の東スポ杯を
ワグネリアンで勝ったときは「ある程度の位置で競馬をしてほしいと頼んでいました。ダービーを考えたとき、直線だけの競馬しかできないようでは苦しいですから」と重賞初制覇の結果よりも内容のほうを喜んでいた彼のこと。ここまでの展開は想定内である。
では、
マイラプソディにとって今回のテーマは何か?もちろん、長距離輸送の克服は必須の条件で、同助手は「
皐月賞にも関わってくる部分なので、輸送はこなしてほしいですね。初めての競馬場はコース適性のあるなしにかかわらず、物見などをしてしまうことがある。そのチェックもしたいところ」とまずは基本的な部分を挙げたが、重要な課題と考えているのは他の部分。
マイラプソディは誰もが「東京コース向き」と口を揃える馬で、それは単純にフットワークが大きいだけでなく、エンジンのかかりが遅いことも理由になっている。前走の
京都2歳Sも勝つには勝ったが、2着だった
ミヤマザクラよりも先に手が動く始末。管理する友道調教師も「
皐月賞の負け方が予想できる走りだったよね」と苦笑いしていたほどだ。その特徴は同馬のキャラクターとして永遠に付き合っていかなくてはならないものなのか?それとも矯正できるものなのか?この確認こそが今回の大きなテーマといえるだろう。
大江助手は「勝負どころでの反応が鈍い部分は致命傷になりかねない。なので、この中間はその部分を意識しての調整。1週前は
武豊騎手に乗ってもらい、仕掛けた際の反応とフォーム、抜け出したあとも体を使って走れているのかどうかの確認をしてもらいました。併せた馬との力関係からゴール前は1頭で走ることになると分かっていましたからね。ジョッキーからは前走よりも良くなっているとの言葉をもらえたし、僕らと同じ感覚だったので安心しましたが、それが実戦につながるかどうか。動きたいところで動ける頭数でもあるので、その部分を改めてチェックしたい」とズブさを見せた前走からの“変化”こそが重要と考えている様子。
仮に陣営が目指した“イメチェン”に成功するようなら、ダービーだけでなく、
皐月賞も視界に入ってくるだろう。ダービーを意識しているからこその東京遠征だが、実はクラシック初戦にもつながってくる大事な一戦──と言えるかもしれない。
(松浪大樹)
東京スポーツ