今シーズンの栗東トレセンに、これまでまったく降る気配がなかった雪が、16、18日にようやく降った。片時とはいえ、毎年一度は見る、いつもの冬の栗東の光景に戻った感じだったが、これに歓喜していたのがGIII
阪急杯(3月1日=阪神芝内1400メートル)に出走予定の
フィアーノロマーノ陣営だ。高野調教師によれば、降雪のあった18日の調教では「やたらと元気が良くて、はしゃいでいるように見えた」のだとか。
「この馬はとにかく夏に弱いんですよ。昨年、重賞を勝ってくれたダービー卿CT(3月末)のころを過ぎたら、もうヤバいですね。地球温暖化はこの馬にとって死活問題です(笑)。逆に今の時季はすごく馬の調子が良くて。この中間も本当にいいんですよね」
これまでの6勝はすべて11〜4月の間に稼いだもの。というより、真夏に稼働したこと自体が今までに一度もないのだから、筋金入りの「冬馬」だ。昨年の上半期はダービー卿CT(1着)→
安田記念(14着)というローテを歩んだが、今年は
安田記念に向かう予定もないのだという。
「コースも時季も合いませんから。オーストラリア遠征という話もないので、
高松宮記念が視野に入ってきます。今の時季が稼ぎ時なので」
ポテンシャルの高さは5ハロン通過56秒5という超ハイペースだった昨年のダービー卿CTで、好位から
プリモシーン、
マイスタイル、
ダイアトニックといった強豪を抑え込んだことですでに証明されている。しかも、当時より状態が断然いいというのだから、これはもう買うしかない。
「いつもはレースを使った後にガタッときていた馬なのに、前走(
阪神C2着)後は初めて上向きましたね。この中間は筋肉のボリュームも増しましたし、明らかに違いますよ」
“稼働リミット”が迫ってくる中、
フィアーノロマーノが今、やるべきことはひとつだけ。気温が上がらないうちに稼ぐだけ稼いで、よりよい夏休みを迎えることだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ