戦後初の「無観客重賞」となった第64回
阪急杯のゲートが開いた。
3番
ダイアトニック、4番
マイスタイル、15番
ニシノラッシュの3頭が主導権を争い、結局、
ニシノラッシュがハナに立った。
これら3頭を含む先行集団は9頭。
浜中俊が乗る
ベストアクターは、その2馬身ほど後ろのポケットのようになったところを、内の
ステルヴィオとともに進む。
「スタートがよくて、理想的なポジショニングでした」と浜中。
ベストアクターはそのまま中団を進む。4コーナーで外を
ジョイフルに塞がれる形になると、浜中は迷わず内目に進路を取った。が、前の5頭ほどが壁となっている。
「直線では進路が見つけられればと思っていました。反応がよく、間を割ってくることができました。何とか差し切ってくれ、と思いました」と浜中。
ラスト200m地点手前で、
ベストアクターの前がひらけた。
先頭は
ダイアトニック、
クリノガウディーが2番手。内から
フィアーノロマーノが伸びてくる。
ベストアクターは、馬場の真ん中から、それらをまとめてかわし、オープン初挑戦で重賞制覇をなし遂げた。浜中にとっては、怪我からの復帰週での嬉しい重賞勝ちだった。
管理する
鹿戸雄一調教師はこう話す。
「思っていた以上に強いメンバーになったのに、よく勝ってくれました。浜中騎手が上手く乗ってくれました。去勢してから体調維持ができるようになった。今日も体調がよかったし、スタートが速かったのが大きかったですね。1600mまでは大丈夫だと思っています」
母ベストロケーションも鹿戸調教師の管理馬だった。
「お母さんのほうが難しい馬でした。今日は、その
母ダイナアクトレスの命日なんですってね。この馬も難しいところがあるので、人が少なかったのはよかったかもしれません。去勢してから、本当に強くなりました」
そう話した鹿戸調教師の管理馬として初めてGIを制したのが、
ダイナアクトレスの孫で、
ベストアクターの従兄弟にあたる
スクリーンヒーローだった。
ベストアクターはこのあと山元トレセンに放牧に出て、
京王杯スプリングカップか
安田記念を目指すという。
なお、2位入線の
ダイアトニックは、直線で
フィアーノロマーノの走行を妨害したため3着に降着となり、
フィアーノロマーノが2着に繰り上がった。
(文:島田明宏)