今週の栗東も日中こそ陽射しがあれば暖かく感じるが、調教開始時刻はまだまだ冷え込んでいる。一日の中でも寒暖の差があることによって、馬も体調維持が難しいのか、熱発や口内炎ができるなど体調を崩して、予定していたレースを回避するといったケースが何件かある。
こういったアク
シデントは厩舎コメントに明記されている場合もあるが、軽症の場合は記載のないことも多い。よって、予想する際に気を付けたいのは調教欄の追い切りの間隔。週中と週末に2本ずつ追い切るというパターンの馬がある週だけそのパターンが崩れていれば、なにかあったかも知れないと推測してもよいだろう。
【坂路/4F51.9秒】
3月11日。一番時計は
サートゥルナーリア(栗東・角居勝彦厩舎)の4F49.8秒。すでに調教VTRでその動きを確認した方もたくさんいると思うが、あんなに軽く走って、こんな時計が出るなんて、まさに怪物。しかも前方で進路が塞がってもまったく動じていないし、むしろ気分よく交わし去っていく。
金鯱賞(3月15日・中京芝2000m)は
有馬記念以来のレースとなるが、久しぶりの感じは全くない。
全体的な時計の出方だが、先週に比べると少し時計を要している。これは10日にまとまった降水量があったことが影響しているものと思われる。特に4F目に11秒台を刻んだのは1頭しかおらず、ゴール前の馬場状態は先週よりも重い印象を受ける。
12日。一番時計は
ピアシック(栗東・
森秀行厩舎)と
プエルタデルソル(栗東・
高橋康之厩舎)の4F50.8秒。木曜日ということで、追い切り頭数も少なく、それを考えれば、この時計は前日と馬場状態が変わらないことを示している。
先週の馬場差は『-0.1秒』。今週は雨の影響を受けて、ほぼ基準と変わりない時計の出方。よって、馬場差は11日、12日とも『-0.1秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
3月11日。坂路が雨の影響を受けたのに対して、Cコースは6Fで80秒を切る時計も何頭かいて、決して重たい馬場という印象はない。3Fが36秒台という馬もいるだけに、コース全体の馬場状態として重たい場所があったという印象もない。むしろ全体的な時計を見渡すと、先週よりも速い印象すらあるくらい。
金鯱賞に出走予定の
ブレスジャーニー(栗東・
佐々木晶三厩舎)は単走での追い切り。もともと左回りが得意な馬だけあって、3コーナーから4コーナーでの右手前での走りが迫力満点。その結果、3F36.5秒という素晴らしい時計をマークしており、左回りでのパフォーマンスに期待を抱かせる追い切りだった。
3月12日。馬場状態としては前日とほぼ変わりがない。ただ、時計自体は前日ほど速さ連発という感じではなかったが、このあたりは追い切り頭数の違いもあるだろう。
先週の馬場差は5日が「-0.6秒」。今週は先週よりも確実に速い時計が連発しているので、11日、12日とも『-1.0秒』で馬場差を記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は11日の追い切りが約10頭。雨が降った翌日にしては少ない印象もあったが、馬場状態としてはあまり多くの頭数が走っていないこともあり、でこぼこになるほど掘れることもなかった。馬場差に関しては『±0.0秒』で11日、12日とも記録している。
今週のポリトラック馬場での追い切りは50頭ちょっとというところで、このところの頭数と大きな差はない。このくらいの頭数が追い切れば、馬場が固くなるといったこともなく、安定した状態で時計が出る。
12日は
友道康夫厩舎が追い切りで多用しているが、その中で目立った動きは
若葉S(3月21日・阪神芝2000m)の出走を予定している
アドマイヤビルゴ(栗東・
友道康夫厩舎)。同厩の
エタリオウ、
ユーキャンスマイルに先行する形だったが、ラスト1F標識では後ろから迫ってくる2頭においでおいで状態。最後は楽な手応えで
エタリオウと同入。時計は6F80.0〜5F64.8〜4F50.4〜3F36.4〜1F11.2秒と速い数字だし、なにより、以前にも増して体全体を使って走ることができている。
なお、馬場差は、先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)