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ボスジラは「オープンを勝つまで狙い続けろ」“国枝イズム”の真骨頂/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年03月19日(木) 18時00分
 牡馬に限った話をすれば、国枝厩舎の新馬は見送るべしとの馬券セオリーがある。過剰人気を避けられないうえに、仕上げは常に先を見越した余裕残し。実際、妙味は皆無である。それでもポツリポツリ勝ち馬が現れるから厄介なもの。しかし割り切れば、それも素質の裏返し。新馬V馬はオープン勝ちまで狙い続けろ――。一方でこんな定石も成り立つのだから、悪くない選択だろう。

 今週のスプリングSに出走するサクセッションはその代表的一頭だ。「まだ芯が入らず頼りない」(鈴木勝美助手)の声も聞かれた初陣は、当方の○印をあざ笑うかのような完勝。ゆえにその後3戦はセオリー通りのオール◎。「あまりに強引な競馬」と国枝栄調教師が嘆いたデイリー杯2歳S(6着)は想定外でも、他の2戦は順当Vである。「馬はディキシーナイト(昨年スプリングS3着)よりも上」(同師)とあれば今回も好勝負は必至だろう。

 ただ「オープンを勝つまで狙い続けろ」のセオリーに則すれば、より興味深いのは阪神大賞典に出走するボスジラのほう。こちらは一昨年の福島で新馬勝ちしながら、2勝目を挙げるのに実に4戦の足踏みが続いた。それでもだんだん良くなる法華の太鼓――。近走の3連勝こそが、時が満ちるまで待つ“国枝イズム”の真骨頂である。

「まだ脚元に不安があってコースでビシビシとはいかないが、一戦ごとに体が締まって充実しつつある。もともと穏やかな馬だけど、落ち着いて泰然自若と構えているのがいいね。何よりこの性格が長丁場に合っているんだろう。全兄ポポカテペトル菊花賞3着だから、血統的にもこの舞台を試す価値はある」

 ボリュームある馬体は一見、ステイヤーのイメージを抱かせないつくり。それでも指揮官が語る通り、長距離向きのメンタルこそ近走の3連勝を支えている。

武豊騎手は“着差以上に余裕があった”と前走で言っていたし、どんな舞台でも安定して走れるのが強みだね。古馬になって完成してきたマイネルキッツ(09年天皇賞・春制覇)のような雰囲気もあるし、極端な上がり勝負でなければ重賞でもヒケを取らない」とは番頭格の鈴木勝美助手。桜花賞に挑む全妹ミヤマザクラとともに、春の阪神開催を大いに盛り上げる一族の走りに注目だ。 

(美浦の宴会自粛野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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