日本では
オークスや
日本ダービー、
ジャパンCに代表されるように、芝2400mが最高峰のクラシックディスタンスの国。
日本ダービーよりも
皐月賞のほうがレベルが高い年も稀にありますが、育成段階で強くなると判断された馬や新馬戦で将来性を感じさせた馬は、短距離馬でも折り合いを学習させ、クラシックを目指すことがほとんどです。
しかし、近年は国際化が進み、香港やドバイなどの日本からそう遠くないアジアの諸国が底上げ。日本の短距離馬が出走できるGIが増えたことにより、
モズスーパーフレアのように芝1400m以下しか経験のない生粋のス
プリンターや、
タワーオブロンドンのように早期からス
プリント路線に転向する馬が増え、これにより近年のス
プリント路線は著しく上昇しました。
そのうえ、今年は昨年の
高松宮記念の覇者
ミスターメロディこそ不在であるものの、2017年
高松宮記念の覇者で昨年の2着馬
セイウンコウセイ、昨年の
スプリンターズSを勝った
タワーオブロンドン、同2着の
モズスーパーフレア、さらに昨年の
高松宮記念と
スプリンターズSともに、前哨戦を優勝して1番人気に支持された
ダノンスマッシュが出走します。
またマイル路線から、
桜花賞馬で昨年暮れの
阪神Cを圧勝した
グランアレグリア、昨年の
ヴィクトリアマイルの覇者
ノームコア、一昨年の
マイルCSの覇者
ステルヴィオもエントリー。遡れば、
モズアスコットも一昨年の
安田記念の覇者であり、GI馬6頭にそれに準ずる重賞ウイナーも多数の超々豪華なメンバー構成となりました。ここまで相手が揃うと、上がり馬の上位争いは厳しいでしょう。
昨秋の
スプリンターズSから芝1600m以下を対象に高い順に挙げると、
阪神C(指数-26pt)>
オーシャンS(指数-25pt)>
毎日王冠、
マイルCS、
京都金杯(指数-24pt)>
スプリンターズS(指数-23pt)>
富士S、
スワンS、
京阪杯、
阪急杯(指数-22pt)>ラピスラズリS、
タンザナイトS、
ニューイヤーS、
シルクロードS、
淀短距離S、
北九州短距離S(指数-20pt)。他のレースは、前記以下になります。※1pt差=0.1秒差(芝1600m以下の距離が対象)。
能力最上位は
阪神Cで他馬を圧倒した
グランアレグリアで、そのときと同じ走りができれば、ここも勝てる計算になります。しかし、休養明けの馬というのは、先週の
阪神大賞典の
キセキの大出遅れしかり、怖いものがあります。実際に
グランアレグリアは、休養明けの
阪神Cでもやや出負けしていましたし、スタミナが不足する休養明けで道悪になった場合、対応できるかどうかに不安があります。
それならば
オーシャンSの上位馬ということになるのですが、前哨戦で好走した馬というのもまた危険。昨年の
オーシャンSを今年と同等の指数で優勝した
モズスーパーフレアは、本番で馬群に沈みました。
オーシャンS、
高松宮記念と連勝した馬では2010年の
キンシャサノキセキがいますが、この年の
オーシャンSは決着指数が-19と凡戦でした。
つまり、昨年のこのレースで4着に敗れた
ダノンスマッシュもしかりで、前哨戦で能力を出し切ったようなタイプは、本番でも馬券圏内に食い込むのは難しいもの。中長距離馬だと、折り合いつけて無理をさせないという小細工ができますが、短い距離ほどある程度行かせてレースの流れに乗せる必要があるので、そこで好走すると反動がでやすいのです。
私がマイル以下の距離を得意としているのは、そこに強いこだわりを持って予想をしているからです。昨年は春秋のス
プリントGIを的中させていますが、これはもともと実績馬でありながら、前哨戦で敗れたタイプを本命にしたからに他なりません。
しかし、前走で敗れているといっても、ただ負けているだけでは巻き返せません。昨年のこのレースの本命馬
ミスターメロディのように、前哨戦の
阪急杯で休養明けのぶん、直線序盤で苦しくなって外に斜行し、他馬に接触する不利があって7着凡退など、しっかりとした敗因が必要なのです。
昨年の
スプリンターズSで本命にした
モズスーパーフレアも、前哨戦の
北九州記念で馬体重26キロ増。さらにテンの速い馬が揃った中で外枠に入り、逃げられずに4着という敗因がありました。
オーシャンSで最内枠から出遅れて、無理に行かせた
タワーオブロンドン、外差し馬場の
シルクロードSで内々を通った
モズスーパーフレア…それともマイル路線が、「じつは芝1200mがベストでした」という結果になるか? 週末は雨予想だけに道悪適性を踏まえ、枠順と馬場傾向を考慮した決断が吉と出そうです。
(文=山崎エリカ)
今週はキムラヨウヘイ、RENA、馬場虎太郎が
高松宮記念に断を下す! 昨年の波乱は再び繰り返されるのか? 3人のプロたちの
ジャッジやいかに!? 予想の参考にぜひ!