新型コ
ロナの感染防止に向けて7日、ついに緊急事態宣言が発出された。対象の7都府県のうち、東京、千葉、兵庫は競馬開催のメイン地区。美浦トレセンが妙な緊張感に包まれたのは当然のことだったか。
「こればっかりは首長の判断だからね。開催の可否を我々調教師に問われても、残念ながら現時点では答えられない」
7日朝の段階でこう伝えたのは調教師会関東本部長たる
手塚貴久調教師。もし中止となれば、再開は最短でもゴールデンウイーク明けか。サラブレッドの能力検定におけるダメージは計り知れまい(調整の難しさにおいても)。
さらに
JRAが例年納める国庫納付金は3000億円余り。大きな売り上げが見込めるこの時期、開催をやめるのは財源としても大きな痛手となる。騎手への感染防止という点では、まだやれることはあろう(調整ルームのフル活用や
パトロールルームの人数制限など)。開催続行のため何事も徹底してやる決意が今は大事なのかもしれない。
さて、今週の
桜花賞において徹底する重要性をひと足先に示したのは
マジックキャッスルか。前走・
クイーンCは大外から力強く伸びながらもクビ差2着。イン伸びの馬場にあって、4角13番手の位置取りが響いたが、それでもこれを勝ちに等しいと見るのが調教パートナーの鈴木勝美助手だ。
「元来が走る気満々で前進気勢の強いタイプ。その気性ゆえに、デビューから2戦目までは前めの位置で運んだけどね。調教でのメリハリを意識して馬を変えてきたのは2走前から。道中はなるべく馬を起こして、直線に向いてからギアを上げる稽古を徹底したんだ」
その工夫が実戦で顕著に表れるから、非常に賢い馬とも言えるだろう。
「
ファンタジーSで乗った戸崎圭は勝負どころでの意外な渋さに“アレッ”て思ったようだし、前走のフォーリーも“渋い馬”と伝えてきた。ただ、内心は“よっしゃ”って感じ。稽古で教えたことを、競馬でそのまま実行してくれたんだからね。タフな阪神コースを思えば、持ち前のスピードを直線で生かすほうがきっとチャンスは広がる。今年は混戦模様だけに楽しみだね」(同助手)
勝負どころのズブさも見方を変えれば厩舎力の証しだろう。脚質転換に成功した同馬には、枠がどうあれ重い印を打つ腹積もりでいる。
(美浦の宴会自粛野郎・山村隆司)
東京スポーツ