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【勝負の分かれ目 皐月賞】福永騎手の大胆な騎乗でコントレイルが史上18頭目の「無敗の皐月賞馬」に

  • 2020年04月19日(日) 18時00分
 重馬場でスタートした中山の芝コースは、8レース以降稍重のコンディションになっていた。強い風と陽差しがさらに芝を乾かしていくなか、第80回皐月賞が行われた。

 ほぼ横並びのスタートから、8番ウインカーネリアン、出鞭の入った14番キメラヴェリテらが前に出て行く。ダミアン・レーンの7番サリオスも、手綱をガチッと抑えたまま先行する。

 最内の1番枠から出た福永祐一コントレイルは、中団より後ろの位置取りになった。

「スタートはよかったのですが、馬場の内が悪いのもあったのでしょうね。あまり進んで行きませんでした」

 1、2コーナーを回りながら、ハナを切るキメラヴェリテが後続との差をどんどんひろげて行く。向正面入口では、2番手のウインカーネリアンに6馬身ほどの差をつけていた。

 サリオスは、ウインカーネリアンから4馬身ほど離れた5番手。

 そこからさらに5、6馬身後ろの内目にコントレイルがつけている。

 1000m通過は59秒8。馬場状態を考えるとやや速い流れだ。

 3コーナーを回りながら、福永はコントレイルを外に持ち出した。

「あの形になったら外ですね。返し馬の走りがよく、この感じなら今までよりもっといい脚を使えるんじゃないか、と。外に出してからは楽な手応えで上がっていきました」

 ラスト600mで前のマイラプソディが動くと、その外からマクるように進出。内のサトノフラッグと併せる形で大外を回り、直線に入った。

 一方のサリオスは、4コーナーでは馬群に包まれていたが、直線入口で内のキメラヴェリテと外のウインカーネリアンの間からロスなく抜け出し、ラスト200m地点で先頭に立った。レーンとしては、外のウインカーネリアンを完全に競り落としてから、少しでも馬場のいい外に持ち出したかったところだっただろうが、そのときにはもう、外からコントレイルが並びかけてきていた。

 サリオスコントレイルがビッシリ併せ、後ろを離して激しく叩き合う。

「直線は突き抜けるんじゃないかと思ったぐらいでしたが、さすがに相手も3戦3勝でGIを勝った強い馬だったので、簡単なレースにはならなかった」

 そう振り返った福永の叱咤に応え、コントレイルが半馬身前に出てゴールを駆け抜けた。

 道中、前とは離れていても馬を信じていたという福永の大胆な騎乗で、コントレイルは史上18頭目の「無敗の皐月賞馬」となった。

(文:島田明宏)

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